神戸ばかりじゃない!5つの顔を持つ兵庫県 前編

sakurasaku20052006-04-27

今日から紹介する兵庫県。実は「自分が兵庫県民だ」という県民意識が日本一低い県である。そのことは後で詳しく書くとして、出だしは恒例の落語から。
大阪の仲良し2人組、喜六さんと清八さんが金毘羅参詣への旅にでる。その途中、明石に立ち寄る。
「さぁ、早よ歩きや。この川を向こぉへ渡ったら、もぉ明石や。」
「そぉか、もう明石か。綺麗ぇな川やなぁ、これ、何ちゅう川や?」
「これが播州の王子(おうじ)川や」
「そぉか。わかったで。そしたら、叔母川はどこや?」
「オバ川って何や?」
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「いや、この川が叔父川やろ、叔父川があるっちゅうことはどこかに叔母川があると思うや。叔父川があって叔母川が無かったら、この川はヤモメ川か。」
「・・・・・あほなこいなさんな。この川は叔父川やない王子川や。この上に王子村という里があるので王子川というや。」
「さ、早よ歩き。これで明石の町へ入ったんじゃ。あまえ「明石行ったら叔父さんとこ寄りたい」っていってたやろ。ついでや、叔父さんとこ寄ろ。」
「いや、もぉえぇ。もぉやめとこ」
「何でや? あ〜、分かった。お前が頼んない男やさかいな、明石に叔父さんはあるとは聞ぃてるだけのもんで、町・所を知らんな?」
「いや、その心配はないねん。町・所も番地も何にも要らんねん。もぉ名前さえ言ぅたら誰でも知ってんねん。」
「えらい有名な人やなぁ。そら大したもんやなぁ。ほて名前は?」
「名前は「明石のひと樽」っちゅうねん」
「おいこれ、お前の言ぅのん「明石の人丸」さんと違うか?」
「そぉじゃ、そのガキじゃ」
「アホッ、何を言ぅてんねん。明石の人丸さんといえば神さんやでぇ。神さんつかまえて叔父貴やと。何を言ぅてんねん。」
「さぁ、こっちへおいで……、ここが人丸さんの麓や。この亀の口から水が出てるやろ。これは有名な「延命水・亀の水」ちゅうてな、日本二水のひとつや」
「“にすい”って何やろ?」
「日本中に、二つしかない水や。大阪、天王寺「亀の水」と明石、人丸さんの「亀の水」と日本に二つしかない、貴重な水なんや」
「二つしかない。えらい不自由な水やなぁ」
「この坂上り詰めたら人丸さんや、お前この坂なんだか知ってるか?」
「えらいきつい坂やなぁ。石が段々にあって。」
「そぉやない。これも日本二坂やで。」
「うワァ〜ッ、明石っちゅうとこは不自由なもんが多いなぁ。一つは大阪やで」
「また、えらいこと知ってるなぁ。大阪どこや?」
「そら知らんねん。」
「アホ。一つは大阪高津の西坂、あれが三下り半。人丸さんのこの坂が七下り半。一名縁切れ坂ちゅなこと言ぅてな、夫婦が手を繋いで上がると、縁が切れるっちゅう縁起があまり良くない坂やねん。さ、この玄関先にあるのが有名な「船形八房の梅」じゃ。」
「立派な梅やなぁ、船の形になったぁるなぁ。誰が植えてん?」
「赤穂の浪士、大石内蔵助が植えたとも言ぅし、また間瀬久太夫が植えたとも言ぅなぁ」「拝殿やで、拝み。」
「えらいもんが明石にあるなぁ。人が出やはった。」
「人?、神さんが出はったのか? ホンマに出はったか?」
「あぁ、出はった。えらい愛嬌のある神さんやなぁ。わいが笑たら向こぉもニコニコッと笑いはってるでぇ……、何じゃ見覚えのあるよぉな顔やが、神さんにしてはちっと貧相(ひんそ)な顔立ち……」
「アホ、それおまえ、正面にあるのは鏡やないか。」
「ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜」
兵庫県といえば、神戸牛、穴子寿司、神戸プリン、ゴーフルケーニヒスクローネのスティックパイ、丹波の黒豆、丹波牛、黒豆茶、神戸ワイン、よもぎ餅、ぼたん鍋ジンギスカン松葉ガニ、湯豆腐、灘の酒、炭酸せんべいなどの食べ物、姫路城、赤穂浪士の城下町、北野異人館街、ポートアイランド、六甲山、神戸の100万ドルの夜景、有馬温泉城崎温泉、虎臥城こと竹田城址、六甲山牧場(神戸チーズ工場)、淡路島などの観光スポット、宝塚歌劇団甲子園球場、オロックスバッファローズヴィッセル神戸神戸製鋼とワールド、そろばん、明石の天文台播州織物、有馬かご、有馬人形筆などが有名である。
また、1995年淡路島北部を震源に起きた阪神・淡路大震災震度7の直下型大地震として、戦後最大の震災として今なお私たちの記憶に深く刻まれている。
「がんばろう、KOBE」という名の元に、復興直後から一日平均2万人を超えるボランティアが集まり、3ヶ月で約117万人もの人が全国から集まった。
実は私もその中の一人であり、当事、神戸のプレハブ仮説住宅でドラム缶風呂に入りながら、見知らぬ仲間達と過ごした日々は今でも良き想い出である。
1995年は日本における「ボランティア」の認識が高まったボランティア元年とも言われている。ちなみに当事の首相は村山富市さんである。
仰木彬監督がイチロー、田口荘らを擁しオリックスブルーウェーブが優勝したのもこの年で日本全国の視線が集まった。
兵庫県を舞台にした作品には谷崎潤一郎の「細雪*1灰谷健次郎の「太陽の子」「兎の眼」「天の瞳」。
映画では篠田正浩監督の「瀬戸内少年野球団」「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」、長島一茂、鶴田真由の「ミスタールーキー」菅野美穂、河相我門、山口智子の「大失恋」、市川崑監督、高倉健中井貴一宮沢りえの「忠臣蔵」三好亜矢子の「好きなんや、このまちが」、高畑勲監督のアニメ「火垂るの墓」などがある。
兵庫県はその昔、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路と五つの国からなり、異なる歴史的背景を持つことから「五つの顔を持つ県」と言われている。
県名の兵庫の由来は神戸市兵庫区に役所が置かれたことと、兵器の倉庫の意味である「つわものぐら(兵庫)」から由来するといわれている。
(つづく)

*1:島耕ニ監督と市川崑監督が映画化