兵庫といえば神戸。でも実は５つの顔を持つ兵庫県　後編

愛すべき県民性

（前回のあらすじ）

兵庫県に県民性はない。あるのは地域性である。
これが率直な兵庫県民の思いだろう。
だから兵庫県という存在は私たち他県民から見ると印象が薄い。むしろ神戸や姫路といった都市や淡路島や丹波、但馬といった地名の方が有名である。
そして、一見私たちが大阪をイメージするものは、実は兵庫県にあるものが多い。
阪神タイガースの本拠地甲子園は兵庫県西宮市にあるし、大阪国際空港（地元の人は伊丹空港と呼ぶそうだが）も兵庫県伊丹市にある。大阪人が憧れの高級住宅街は兵庫県芦屋市にあるし、大阪出身のコメディアンやアイドルと思われたダウンタウンや堂本光一君も兵庫県出身だ。
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また、あまり知られていないが、ゴルフをはじめ、生協、ボーイスカウト、水族館、コロッケ、映画、登山など兵庫（神戸）発祥のものたくさんある。

城といったら姫路城
タコと鯛といったら明石
酒といったら灘五郷
損保乃糸のそうめんやヒガシマルの醤油
ソロバンの小野に歌劇の宝塚

など、それぞれが国内では一級品の食と文化を持っているが、兵庫県という存在が前面に出てこないから不思議な県だ。
山田耕筰作曲「赤とんぼ」の舞台も兵庫県（たつの市）にある。
裏を返せば、これだけの食や文化、歴史遺産を持ちながら「すごいだろう」と自慢しないのが彼らの良さでもある。
彼らは威張ってみせたり、露骨な自慢をしないかわりに、心の中に密かに自負を持っており、自分たちは「まあ、こんなものじゃない。」というクールなプライドを持っている。
このことが大阪人からいわせると「エエカッコシー」とうつる。
特に大都市神戸ではその傾向が強く、彼らは内心「僕らはスマートで都会的、かつ精神的にも成熟したクールで洗練された都会人」と思っており、厚かましく我を通す人間をよく思っていない。
だから大阪人を彼らはあまり好まない。
野球も阪神ファンばかりでなく、結構巨人ファンもいる。なのに、阪神タイガースは兵庫にある球団だと主張しているところが彼らのプライドの高さだろう。（なぜかオリックスは自分たちの球団としてアピールしないが。。。）
この辺の感覚が東京に対抗する横浜に良く似ている。
神戸はわざわざ大阪に出なくとも遊ぶところはたくさんあるので、そういう意味では横浜（神奈川）と同じといっていい。
その兵庫県は短大・大学の進学率が高い県としても有名で、特に女子の進学率は59.2％と全国ダントツのトップである。
高学歴である兵庫の女性は一般に仕事や洋服、男も一流を好むという。
彼女たちは社交的で、繊細さもあり、人当たりも悪くない。ファッションで自己主張できるすべを持っており、そのセンスはバツグンである。
流行に敏感でありながら、流行に流されることなく、ノーブランドでも「いいものはいい」という信念を持っているそうだ。
だから男性に対する要求も手厳しいという。
小池百合子環境大臣に公明党の扇千景、浅野ゆう子、藤原紀香、南野陽子、松下奈緒、上村愛子、兵庫県出身の女性を挙げていくと頷ける気がする（敬称略）
新しいものを常に追求し、チャレンジ精神は旺盛だが、逆に気に入るとすぐ鞍替えしてしまう移り気な性格もあるというから男性諸氏は気をつけた方がいいかもしれない（笑）。
また、兵庫県は，消費支出を可処分所得で割った平均消費性向が全国一の高さであるという。（小林隆一氏の県民性・地域性より引用）
貯蓄性向が高い日本の中ではお金の使い方を知っている県民ともいえる。
こんな兵庫県民と付き合うには難しいことはない。郷土意識は薄いが、排他的なところがなく、誰でも受入れ、友達になれる。そんな寛容性が兵庫県民の良さである。
他県の人が転勤するにあたり、一番楽な所が兵庫県とも言われている。
但し、地域によって県民性が全く違うから、出身地は確かめておこう。
淡路島は徳島県でなく兵庫県、福知山や舞鶴や天橋立は京都府で、小豆島は香川県である。どこまでが兵庫県かわかりにくい県だからといって、全部、「神戸」とひとくくりにまとめるのはやめよう。
地域によって話す方言まで違っているから耳を澄まして聞いてみよう。
摂津の人には神戸の都会的洗練性を、播磨の人には世界遺産の姫路城（白鷺城）を、丹波の人には黒豆や栗、松茸などの丹波ブランドを、但馬の人には神戸牛·松坂牛は実は但馬牛を成長させただけのものという事実を、淡路島の人に花を褒めれば気分をよくすること間違いない。
兵庫県民の中に、稀に神戸市出身者でなくても「どこ出身なの」と聞かれて、「神戸」と答える人もいるがその辺は聞き流してあげよう。
同じ県内でも姫路は神戸にライバル心を持っているから気をつけた方がよい。また、彼らは京都人や大阪人とは一線を画しているからその辺も覚えておこう。
神戸には知的なお坊ちゃん、お嬢ちゃんタイプが多いという先入観からから三ノ宮あたりでたむろしている若者に気軽に声を掛けると痛い目に会うから気をつけよう。
間違っても黒塗りの車に近づいてはいけない。
異人館や夜景ばかりが目立つ神戸市だが、実は有馬温泉も神戸市にあることが意外に知られていない。
播磨は陽気だが保守的な城下町である。時代劇に映る江戸城はだいたい姫路城であるが、そんなことも知らず「あの江戸城は立派ですな」などと言っていると、馬鹿にされたと思い「殿中でござる」と敵討ちにあうから気をつけよう（これは嘘です（笑））。
丹波は昔から京文化の影響が強いところだから、兵庫県人が大阪人と京都人が嫌いといって丹波で京都を馬鹿にするのはやめよう。
本当は福知山や舞鶴、天橋立までは丹波と思っている人も多いが、この事実は黙っておこう。
但馬は朴訥として人がよく、引っ込み思案な人が多い。彼らに恥ずかしがり屋なので開放的な関西のノリで無闇にツッコミを入れるのはやめよう。
雪の多いここでブーツといったら長靴のことであるから覚えておこう。
淡路島は、灰谷健次郎がその著「いま、島で」の中で
「『ええことばかりはないけんどのおう』とひとりの村人が私に言ったが、それは苦楽を共にしようという同志的な友愛から出た言葉で、わたしはありがたかった」
と書いたように、相互扶助の精神とあたたかな優しさを持った人たちである。何もしなくてもあなたを温かく迎えてくれるだろう。
阪神というと大阪と神戸の間とその周辺を指す。別に阪神電鉄が支配している地域でも阪神タイガースの所有地でもないので覚えておこう。
尼崎はもはや大阪だという人もいるが、ここは関ジャニ∞の安田章大君や錦戸亮君、ダウンタウンの松本人志や浜田雅功、千堂あきほさんの出身地だから覚えておいた方がいい。

義理の浮世じや　添われぬ人に
城崎で逢うてうれしき　あの夢ごころ
いで湯もどりに手拭さげて、
湯町川　恋もはずかし　あの月の影

山と海と島からなる兵庫県は日本の縮図とも言われている。
５つの顔いや６つの顔を持つ兵庫県。そんな彼らは、県民意識は薄いが、国際感覚の高さは全国トップクラスである。そんな彼らと付き合えば、あなたもコスモポリタン。あなたの人間関係における処世術はさらにワンランクアップするに違いない。
兵庫の県花：ノジギク／県木：クスノキ／県鳥：コウノトリ／県民歌：ふるさと兵庫