江國香織さんの東京タワーの感想
二人の少年と年上の恋人―
恋のきわみを描く長編恋愛小説だそうだ。
主人公小島透君二十歳、その恋人は母の友人浅野詩史さん?歳。同級生大原耕二君と年上の恋人川野喜美子さん35歳。
一般的には日常あまりありえる話ではないのに、江國さんの手にかかると、それは身近な日常の光景にあるような生々しい物語に変貌してしまう。(写真は飯綱高原に咲いていた花、私の中でこの小説のイメージに合うのだが、名前がわからない(ーー;)
なぜだろう、私は彼女の小説が好きだ
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- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/02/28
- メディア: 文庫
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登場人物に簡単に感情移入できてしまうところも江國さんの素晴らしさだ。
透君も耕二君もどちらも大学生なのに、いいトシの私までその気持ちが伝わってくるから不思議な本だ。
だいたい女性である江國さんが、小説を書くにあたって、数人の若者達にアンケートをとったとはいえ、なぜこうも、男性心理がわかるのだろう。
まあ、端的に言えば男たちは単純だということだ(汗)
恋はするものじゃない、落ちるものだ。
主人公の小島徹君がぼそっとつぶやいたこの言葉が甘く切なく心に残った。
そして彼らの目から見た女性達が秀逸だ。
それは時に美しく、時に残酷だが、とても魅力的に映る。
ネタバレになるのであまり書けないが、詩史と喜美子は一面で二人とも良き妻を演じながら、若人の前では全然違った無邪気で、純粋な側面をみせる。
それはときに情熱的で、ときに官能的。ちょっとH(かなり)であるが、それが人間としての彼女達の魅力を引き出している。
さすが女性が描いた作品だけあって、オンナゴコロがよく表現されていると思った。
彼女はあとがきで女性たちが読み終わった後「あらまあ」といっていただけたら嬉しいと書いてあったが、私が女性だったら間違いなく「あらまあ」と呟いてしまう作品である。ちょっとした嫉妬とともに(笑)
「間宮兄弟」でもそうだったが、彼女の作品は淡々と進んでいく。ラストで大きな感動が待っているわけでもない。
でも癖になる。
試し読むと新しい世界が広がるかもしれませんよ(笑)