この前の戦争は応仁の乱 京都府

この前の戦争といえば戊辰戦争である。
そう答えるもうひとつの県(府)がある。祇園の街、一見さんお断りの街京都だ。
京都にとってこの前の戦争は鳥羽伏見の戦いを指し、先の大戦といえば、太平洋戦争ではなく「応仁の乱」のことだというから驚きである。
ちなみに今の戦争といば、MKタクシーをいうかは定かでない。
そんな京都府で思い浮かぶのは、平安京、歴史文化の街、天の橋立、宇治茶、八ツ橋京野菜、京湯葉、つるつる麺、西陣織、舞妓さん、清水焼、琴引き浜の鳴き砂、ちりめん山椒などのおばんざいなどがある。
文化の街らしく出身の有名人には古くは室町時代の画家狩野正信・元信、尾形光琳や乾山、上村松園がいて、映画監督では伊丹十三大島渚、歌手では渡辺美里尾崎亜美倖田來未都はるみ、元モーニング娘中澤裕子、俳優では田村正和津川雅彦寺島しのぶ石田ゆり子、森光子、中村玉緒、お笑いでは島田伸介、中島知子(オセロ)らがいる。(敬称略)

実は私は学生の頃、添乗員のバイトをしていて京都には何回か足を運んだことがある。去年妻と奈良に行った際、京都タワーを見て、感慨にふけったものだ。
碁盤の街並みは地図がなくても、だいたいの場所が把握できる。
日本の古都であり、町全体が文化遺産のような相変わらず美しい街である。
もっとも暴力団より怖い?景観局があるので、建物をたてる際、景観条例に合うかは厳しくチェックされ、コンビニやSSの看板の色まで変えさせられてしまう。
灰色かかった緑のJOMOの看板や赤ではなくオレンジのマクドナルドを見るにつけ、ここは日本であって日本でないことを感じさせる。
京都市は県庁所在地の人口集中率全国1位であり、府民の半数以上が京都市に住んでいる。
京都といえば京都市といっても過言ではない。*1
京都は1000年以上天皇が在位した場所だけあって、京都人は相当プライドが高いようだ。
一般に「上京する」といえば、私たちは東京に行くことを指すが、彼らは上京するとは京都に来ることを言うそうだ。
東京は天皇が仮に住まわれている所であって本来の京は京都なのである。
彼らにとって東京は東の京都、名古屋を中京などと呼ぶのは言語道断である。
彼らは、京都は近畿とは別と考えており、大阪や滋賀とも一線を画しているようだ。
伝統が築き上げた独特の文化を持ち、「一見さんお断り」というだけあって、なかなかよそ物を受け付けない排他的なところがある。また京都の言葉には二面性があって
京都で「ぶぶづけどうどすか(お茶漬けでも食べていきませんか)」
と言われ、素直にいただいてしまうと、あの家の人はなんて卑しい厚かましい人だと末代まで言われてるらしい。
彼らにとって「お茶漬けどうですか」というのは「お茶漬けなんて粗末なものしかもうないから、早くかえりなはれ」という意味らしい。
私はこのことを知らず添乗先でエライ目にあった。
また、京都では創業100年ぐらいでは老舗といわないらしい。
京都10代といって10代ぐらい住まないと京都人とは認めてくれず、創業400年、500年でないと老舗とは呼んでくれないらしい。
しかし、こんな伝統的な街にもなぜか京セラ、任天堂オムロン島津製作所、佐川急便などの大会社の本社がある。意外に商才には長けているのだろうか。
こんな京都人と付き合うには「おいでやす」「おおきに」と優しく笑顔で語りかける彼らの中に、光と影の部分があることを理解しなければならない。
たとえば「若い娘は何着はっても、お似合いさん」と言われたら「場違いな服装を着てきた」と言われたと思った方がいいし、「あんさん、高級車のりはるからどこかのお偉いさんかと思いました」と言われたら田舎者は分相応の車を乗りなさいと解釈したほうがいい。
これはずっと都があり、戦火の中を生き抜いていくためにはこうした二面性を持たないと生き残れなかったからだといわれている。
そのせいか、人の応対には大変、気を使う。
約束の時間より少し遅れていく「京都時間」は有名だが、これは人を迎えるに当り、先方は細かな所まで大変神経を使うので、約束の時間には少し遅れていった方が良いという相手への気遣いから生まれたそうだ。
全て準備が整い、先方がほんの一息ついた時に訪問するのが礼儀で、あまり早く着くと相手に慌てさせてしまうそうだ。
しかし、京都人は伝統や格式にこだわる割に、新しいもの好きだったりする。
日本で最初に水力発電を作ったのは京都であり、路面電車が初めて開通したのも京都である。保守でなく革新政党の支持者が多いこともその理由にあげられる。
だから、彼らの皮肉はさっと聞き流し、IT関連など新しい話題を振りまきながら、古都京都は素晴らしい、日本の都ですなんて言ってあげるのがよい。
住むには難しそうな街だが、外国人観光客が一番行ってみたい日本の街であり、北海道、沖縄と並んで未だ国内旅行人気№3に入る街である。
年に1回ぐらいは京の町をぶらつくのは至高の贅沢と思うのは私だけだろうか。

京都府の花:しだれ桜/木:北山杉/鳥: オオミズナギドリ

京都の県民性について

*1:厳密には平等院鳳凰堂宇治市などがある山城、脱線事故があった福知山市がある丹波舞鶴の桟橋で涙にくれたあの日ので有名な岸壁の母の歌碑がある舞鶴市がある丹後がある