おしんの国 山形県

小林綾子演じる主人公谷村しんが貧しさのため母と別れて奉公に通う。
健気に苦難と立ち向かう彼女の姿に当事日本中が感動した。冬のソナタのヨンさまどころの騒ぎではない。まさにしんさま状態であった。
1983年に放映された橋田壽賀子原作のこの作品はNHK連続テレビ小説にあって平均視聴率52.6%をはじきだし、その後世界59カ国に放映された日本を代表する番組である。
当事、この番組を日本人の半数以上が見ていたことになる。
そのおしんの舞台となったのが山形県である。
山形県といえば、さくらんラ・フランス米沢牛玉こんにゃく、ドンガラ汁、ふうき豆、花笠祭り、イモ煮会、寒河江市慈恩寺舞楽蔵王最上川銀山温泉あやめ公園、川西町のダリア園、鶴岡公園、天童将棋の駒、様々な伝統工芸品、即身仏(ミイラ仏)などが有名である。
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山形出身の有名人には政治家加藤紘一、作家井上ひさし丸谷才一藤沢周平歌人斎藤茂吉、英語学者渡辺昇一、評論家佐高信、作曲家服部公一、映画スワロウテイル稲村ジェーン深呼吸の必要の音楽を手がけた小林武史
漫画家幽☆遊☆白書冨樫義博、タレント青木裕子ウド鈴木キャイ〜ン)、ケーシー高峰ビートきよしテツandトモ石澤智幸。歌手ではTHE BOOMのボーカル宮沢和史さくらんぼ栽培人兼カラオケ教室講師兼演歌歌手の大泉逸郎。俳優の本上まなみ、あき武城、渡辺えり子、アナウンサー古瀬絵理、スピードスケートの加藤条治らがいる。
伊達政宗も生まれは出羽国米沢である。(敬称略)
おしんの他にも鶴の恩返しは山形を舞台にした物語だし、「ジャズやるべ!」と上野樹里平岡裕太とジャズをはじめる青春映画、矢口史康監督の「スウィングガール」や第26回日本アカデミー賞で史上2回目の全部門優秀賞をとった藤沢周平原作、山田洋二監督の「たそがれ清兵衛」、感動的なアニメ高畑勲監督の「おもいでぽろぽろの」などは山形を舞台にした映画である。
山形県の県民性を調べていくと必ずといっていいほど行き当たるのは昭和の論客・大宅壮一氏がいった「野暮で誠実」という言葉だ。
山形県人は概して穏やかな性格であり、人当たりが良く、万事を上手くまとめることが上手い。その反面、理知的で計算高いところもあるそうだ。
コツコツとやる勤勉家が多く、おしんのように忍耐強いと聞く。
確かに米沢藩上杉鷹山の財政改革などを見れば、山形県人は厳しい自然環境で、決して豊かな生活といえない中で、コツコツと質素倹約に励んできたといえる。
この上杉鷹山という人はすいしょうさんのいる宮崎県(高鍋藩)出身というから県民性は何がつながるかわからなくて面白い。
彼が宮崎から持ち込んだのはこの倹約の精神と正直さだったという。
また、庄内美人というように山形に美人が多いのは古く奈良時代最上川で国家的開墾事業が行われ、近畿地方から美人がたくさん来たことに由来するといわれている。
確かに酒田市などの庄内地方では紅花や庄内米を通じて関西と交易し、交流を深めていたという歴史的事実がある。
山形県人をヤボというのは、江戸のイキという文化に反発し、関西の文化を取り入れた山形県人に嫉妬して、東京人がつけたという噂もある。
山形女性は色白でぽっちゃり型、動作が優しくおだやかなので女性らしくみえる。それでいて勤勉な働き者が多いので男性から人気がある。
秋田県では、「嫁をもらうなら山形から」とまでいわれているそうだ。
但し、娘を持ったお父さんは大変なようで「娘3人持つと家が潰れる」といわれるくらい冠婚葬祭には金をかけるそうである。
山形県さくらんぼの生産量全国№1というのは有名だが、他にもこんにゃくの消費量 が全国1位、食用菊の生産量全国1位、お菓子の購入額では山形市が年間1世帯当り93,090円(総務省家計調査)で第1位、スリッパの生産量日本一は山形県河北町で何と国内生産量の4割をしめているという。
意外なことに国内の最高気温を記録したのは山形県であり、昭和8年7月25日に山形地方気象台で40.8 ℃を記録した。
また、ブナの天然林の広さが全国1位で15万ha、落差5m以上の滝の数が230個所で全国1位と意外に知られていない日本一がある。
日本一長い石段は後からできた熊本の釈迦院表参道の石段に譲ってしまったが、江戸時代からある石段で一番長いものは羽黒山の石段である。
山形県人は地味に努力しながら、義理堅い人が多いので、銀行家や軍人を多く輩出した。
明治維新の際、西郷隆盛との約束で山形が戦火に巻き込まれなかった恩義に報いるため、鶴岡藩士が西南の役中央政府に逆らって西郷を支持して戦ったのは有名な話である。
こんな山形県人を友達に持つと心強い。
その山形県人と付き合うには、まず、彼らに思いっきり話してもらおう。
山形県は65歳以上のお年寄りが同居する割合が全国一高い。すなわち、鹿児島県と正反対で核家族が少なく、家父長制など古いしきたりや慣わしも残っている。
また、共働き世帯の割合が全国一多く=専業主婦が日本一少ない県であり、日々の仕事に忙殺されている人が多い。
そうした中で生活をしていると段々ストレスがたまってくる。話を聞いて彼らのストレスを発散させてあげよう。
はえぬき」や「どまんなか」を主食に、山形讃香を飲みながら大いに語り合おう。
でも、いも煮会に参加するときは席順は事前に押えておこう。
もっけだの』といわれても、もうけちゃったという意味ではないので怒らないで欲しい。
ありがとうとか申し訳ないという意味である。
「五月雨(さみだれ)を あつめて早し 最上川」。
松尾芭蕉の名句にあるように山形県は自然豊かで叙情ある県である。
そこに住む人たちは勤勉で忍耐強く、そして正直である。そんな彼らとともに古きよき日本を味わうのも時にはよいのではなかろうか。
山形の県花:紅花/県木:サクランボ/県鳥:オシドリ/県魚:サクラマス/県獣:カモシカ/県民歌:最上川