東京タワー、オカンとボクと、時々、オトンの感想

たまにはこんな映画もあっていい。
ボクの一番大切な人。ボクのために生きてくれた人。ボクのオカン。
映画の日リリー・フランキーさん原作の東京タワーを見た。
原作は210万部を超えるロングセラー、彼のありのままを綴った小説は数多くの感動を呼んだ。
不覚にもワタシも涙した。
そのときの感想>http://d.hatena.ne.jp/sakurasaku2005/20060724#asin4594049664
いくら原作が良くても、速水もこみち君の連続ドラマに、大泉洋さんのスペシャルドラマと、ちょっと作りすぎと思っていたが、私の中ではオダギリジョー君の映画が一番よかった。
まあ、いいではありませんか♪甲信越ブログランキング


決してドラマティックな作品ではない。
母と子、青春と友情、夢と挫折、そして恋。普通の人なら誰しも経験があるだろう普通の人生を淡々と描いている。
「この紋所が目に入らぬか・・・」水戸黄門のよう印籠のように先が読めても、自然感動してしまう作品だ。
わかっていても、いつの間にか涙が溢れ出し、止まらなくなる。
リリーさんはずるい。僕らが男の子だからかもしれないが、主人公ボクの気持ちがそのまま自分に重なりあって溶け込んでいく。だから、涙してしまう。
男の子が普通で生きることの難しさ、情けなさ、そして面白さが溢れている。
母といわず、オカンという表現も優しさと丸みがあっていい。
そしてオカンの子供に対する無償の愛、たとえ自分を犠牲にしても子供を守りたいという感情がストレートにはいってくるから参る。
オカンを演じた樹木希林さんは、それを女性なら誰しもが持つ「母性」と呼んだ。樹木さんは凄い役者さんだ。
両親を大切に、そしていとおしくなる作品だ(笑)。
松岡監督が「ただそこにいる人間を描きたかった」というだけあって、中にはありのままの人間たちがいる。そこがこの作品の凄さのひとつだ。
エンディングに流れる福山雅治さんの「東京にもあったんだ」もこの映画にあっていて良かった。


1960年代。3歳のボクが、遊び人のオトンを捨てたオカンに連れられ、小倉から筑豊のオカンの実家に戻ってきたところからはじまる。
炭鉱の町筑豊に育ち、東京に憧れ上京してきたボク。そして・・・
2001年4月1日、東京には桜の季節に係わらず雪が降った。オカンとボクは、東京タワーを間近に見上げていた・・・・


あなたはこの作品を見て、東京タワーに自分の何を映しだすだろうか。人によってはつまらないというかもしれない。だけど、飾らないありのままの人間を映像化したところいい。「いい映画だね」って素直にお薦める一作といえる。

監督:松岡錠司 原作:リリー・フランキー
出演:オダギリジョー樹木希林内田也哉子松たか子小林薫、宮崎おあい、田口トモロヲ伊藤歩猫背椿荒川良々蟹江一平仲村トオル小泉今日子寺島進
劇場:長野シネマグランズ
ホームページ:http://www.tokyotower-movie.jp/