武士の一分の感想

命をかけて守りたい愛がある。
不合理とわかっていても、男には最後には譲れないものがある。
武士の一分

エンドロールとともに、心の中を一陣の風が通り抜けた。
館内ではすすり泣く声がいくつも聞こえる。久しぶりに映画を見て、心地良い風を感じた。
正直、映画の時代劇はあまり好きではない。理由は飽きてしまうからだ。だが、この作品は最初から最後まで飽きなかった。更に所々で「くすっ」と笑わせてくれる。
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しみ豆腐を噛むと舌の中でじわ〜と味が広がっていくように、とても味わい深い作品だ。ストーリーは想像にお任せするが、淡々と進む物語の中で、私は「男」を感じた。
日本男児が忘れかけている精神、私も敢えて眠らせていた本能を感じだ(笑)
男性諸兄には是非見て欲しい作品である。
主人公三村新之丞役の木村拓哉君は少し見直した。
ドラマの印象の強い彼は、かっこはいいが、役柄にいつも少し傲慢さを感じる。だがこの作品のキムタクは違った。ある意味情けない。
だけど、彼はあんなに切なくて純粋な目ができるんだ。さすが、監督が「俳優と会ってこんなに気持ちが高揚したのは、高倉健さん以来だった」というだけのことはある。

寅さんの頃から見ていた笹野高史さんもいい。壇れいさんは宝塚出身のせいか、しぐさがうまい。ご飯を寄り添う手の動きなど、ほんちょっとしたしぐさに色気を感じる。
女性の美しさは顔だけじゃない、ちょっとした動きやしぐさに現れることを改めて感じた。
新之丞(木村拓哉)と妻加代(壇れい)侍従の徳平(笹野高史)。
3人のつつましやかな生活。平和な時代、二度と剣を持たないと誓っていた男が握る決意をさせたものは何なのか。
9割は捨てても、どうしても捨てられなかったものとは・・・
この答えは是非、劇場で感じてきて欲しい。


監督:山田洋二
原作:藤沢周平「盲目剣谺(こだま)返し」
出演 :木村拓哉 (SMAP)、 檀れい笹野高史桃井かおり坂東三津五郎緒形拳小林稔
劇場:長野シネマグランズ
ホームページ:http://www.ichibun.jp/