間宮兄弟の感想

冷静と情熱のあいだ」以来の江國香織さんの作品を読んだ。
女性が主人公の多い彼女に合って珍しく男性が主人公の作品だ。
それも兄弟の物語
酒造メーカー勤務の兄(35歳)と学校職員の弟(32歳)
どこにもいそうな、優しくて、いい人なんだけど・・・・恋愛対象にはなりにくい。
女性作家の作品にしてはもてない男が主人公で、かつその心理描写が的を得ている部分があるので男性読者は驚いたのではなかろうか。
何よりも良い部分は、この二人の兄弟とそれを取り囲む人々の生活は、ゆっくりと時間が流れ、ほんわかとあたたかく、ドロドロした人間描写があるにも関わらず、読んでいて居心地のいい安心感を与えてくれる。
少し、疲れたとき、何も考えたくなくすこし時間をゆっくり感じたいときに、お薦めの本である。
私には兄弟がいないから、尚更、こんな兄弟の楽しい時間が素敵に思えた。
読み終えてひとつだけわかったこと。
それは、誰でも自分が帰れる居場所、安心できる居場所が必要なんだということ。
間宮兄弟のように、私は親孝行もピュアな生き方も出来ないけれど、このことだけは身にしみて感じた。

映画について

森田芳光監督がこの作品を映画化し既に劇場公開された。
私はこの作品を見ていないが、間宮兄弟佐々木蔵之介塚地武雅ドランクドラゴン)がやるのはイメージに合っている。というか本の表紙にこの二人の写真があったので、この二人をイメージして本を読んでしまった。
だが読んでいるうちにこの二人、私の周りのT君とN君にそっくりであることに気付いた。先日紹介した私の旧友、親友である。
彼らは兄弟ではないし、間宮兄弟ほどもてなくはないのだが、見ていて、友達同士なのに夫婦のような感じで、ほのぼのする雰囲気はまさに間宮兄弟そのものである。
背が高く、普段は無口だが、友人をとても大切にするT君、ちょっと小太りで、時折特攻隊のように無茶することもあるが、本当は心根の優しいN君。
身近にこんな友人がいてくれることを私は嬉しく思う。
映画には、間宮兄弟の母を中島みゆきさんが、弟の職場の同僚、葛原依子先生を常盤貴子さん、兄が気に入る本間兄弟の姉直美を沢尻エリカさん、妹夕美北川景子さんが出演している。興味のある方はこちらもご覧頂きたい。
http://mamiya-kyoudai.com/