山口県 オイデマセの山口人 前編

今日紹介する落語は山口に関係する「梅の花」。オチが永代橋と同じのため、パクリではと思う方もいるかもしれないが、昔からある音曲噺のひとつだそうだ。

標準語バージョン

清元節の「梅の春」
これは、天明の頃、長州のお殿様が、ご自身で詩(うた)をつけられ
「四方にめぐる扇巴や文庫の……わかめ刈るてふ春景色」
まで作って、後が続かず悩んでいたのを見て、大田蜀山人さんという方が、
「浮いて鴎のひい、ふう、みい、よう、いつか東へつくばねの……」
と後を付け、さらに清元の名人・清元太兵衛が節を付けたという傑作である。
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この歌が出来たので、橋場の下屋敷に客を招いて語り初めの会を開くことになった。
ちょうどそのとき喜多武清(きたぶせい)という絵の先生も画席があって、同じ屋敷に来られていた。
来る客、来る客は太兵衛さんを楽しみに座敷をのぞくが、座敷には武清さんしかいない。
さすがに清武さん、座敷を除く者みなが太兵衛を待っているのことに気付くとだんだん不機嫌になってきた。
更に若い女たちは清武さんの顔を見て、何かおかしいとクスクス笑うのを見て、ますます不機嫌になる。
いよいよ「梅の春」が始まり、節が終わるとお客から太兵衛さんに
「よぁっお!天道様ッ」と声が掛かかった
これを聞いた武清さん、弟子に向かって。
「太兵衛は名人だろうが、お天道様というのは分に過ぎている。俺がいかに苦心をして絵を描いてもお天道様とはいわれない。何とか太兵衛に勝てないものか」
「先生、それは無理でございましょう。絵画と清元は違いますから」
「いや、何とか勝ちたい。なんとかならぬか」
「先生、太兵衛さんと喧嘩をしても勝ち目はありません。昔からのたとえにもいうではありませんか。太兵衛に武清(多勢に無勢)はかなわない」

長州弁バージョン

清元節の「梅の春」しっちょる
これは、天明の頃、長州のお殿様が、わしが詩をつけちょるけえと
「四方にめぐる扇巴や文庫の……わかめ刈るてふ春景色」
まで作っちょったが、後が続かず悩んでいたのを見て、大田蜀山人さんちゅう方が、
「浮いて鴎のひい、ふう、みい、よう、いつか東へつくばねの……」
と後を付け、さらに清元の名人・清元太兵衛が節を付けたちゅう傑作じゃ。
この歌が出来たっちゅうけえ、橋場の下屋敷に客を招いて語り初めの会を開くことになっんじゃ。
ちょうどそのとき喜多武清(きたぶせい)ちゅう絵の先生も画席があるちゅうて、同じ屋敷に来られていたんじゃ。
来る客、来る客は太兵衛さんを楽しみに座敷をのぞくが、座敷には武清さんしかおらんっちゃあ。
さすがに清武さん、座敷を除く者みなが太兵衛を待っちゅらこと気付くとだんだん不機嫌になる。
更に若い女たちは清武さんの顔を見て、何かおかしいとクスクス笑うのを見て、ますます不機嫌になる。
いよいよ「梅の春」が始まり、節が終わるとお客から太兵衛さんに
「よ!天道様ッ」と声が掛かかった。
これを聞いた武清さん、弟子に向かって。
「太兵衛は名人じゃろうが、お天道様ちゅうのは分に過ぎちゅら。わしがいかに苦心をして絵を描いてもお天道様とはいわれのう。何とか太兵衛に勝てないじゃろか。」
「先生、それは無理でごじゃろ。絵画と清元はちがえますけん」
「じゃけん、何とか勝てんやろか。なんとかならん」
「先生、わやいいなさんな。太兵衛さんと喧嘩するはぶちえらい!昔からのたとえでもいうちょろうが。太兵衛に武清(多勢に無勢)はのせん。」