大分県 ヨロシモーシチョクレ 中編

では先日に引き続き吉四六さんの話から。

標準語バージョン

この夜、キツネは吉四六さんにだまされたと思うと、腹が立って眠れません。
夜闇に紛れて、大勢の仲間を引き連れて、吉四六さん家の麦畑にやってきました。そこで、腹いせに隙間もないほど石ころを放り込んで、畑をメチャメチャに荒らしました。
へっへっへ。どーだ。ざまーみろ。
朝になって、畑を見た吉四六さんもこれにはびっくり。
・・・ややや、キツネの奴が仕返しに来たのだな!

そこで吉四六さん
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キツネが石ころを入れた畑のあった所で、わざと大きな声で妻に言いました。
は、大きな声で妻のおへまさんに言いました。
「うまいことになったものだなあ。
うちの麦は出来が悪いので心配していたら、
親切な人がこんなに一杯、石の肥やしをやってくれた。
有り難いことです。」
物陰でキツネが盗み聞きしていると思い、更に大声で
「いやーよかった。間違えて、馬のフンでも入れてくれたら、麦が枯れて大変なことになるところだった。石肥えのお陰で、今年は豊作疑いなしだ」
これを聞いたキツネは大変

次の朝、吉四六さんが畑に行った所、昨日の石はすっかり無くなり、代わりに馬のフンが麦畑にびっしりと並んでいました。
吉四六さんは、うそ泣きをしながら言いました。
「ああ、困ったな。どうにもならない。誰のいたずらだろう。
ウチの麦は駄目になってしまうじゃないか。」
思った通り、畑の馬糞は日毎に量を増しました。
吉四六さんの畑からは、例年の倍以上の麦が採れました。
それからというもの性悪キツネは、もう決して野津村に姿を見せませんでしたとさ。

大分弁バージョン

こん夜、キツネは吉四六さんに騙されちぃ思うと、腹が立っち眠れんや。
夜闇に紛れて、大勢の仲間を引き連れて、吉四六さんうちんかたん麦畑にやっちきたで。ほんで、腹いせに隙間もないほど石ころを放り込んで、畑をメチャメチャに荒らしたんや。
へっへっへ。どーや。ざまーみろ。
朝になっち、畑を見た吉四六さんもこりーはびっくり。
・・・ややや、キツネの奴が仕返しに来たちゅうワケやね!

ほんで吉四六さん
キツネが石ころを入れた畑のあった所で、わざと大きな声で妻に言おったで。
「うまいこつになりよったのぉ。
うちんかたの麦は出来が悪いキ心配しちょったら、
親切な人がこげえ一杯、石の肥やしをやっチくれたけん。
有り難えこつやけん」
物陰でキツネが盗み聞きしちょんやろうから、更に大声で
「いやーよかったけん。間違えて、馬のフンでん入れチくれたら、麦が枯れてえらいこつになるトコやったけん。石肥えのお陰で、今年は豊作疑いなしや」
こるー聞いたキツネはしんけん(大変)

次の朝、吉四六さんが畑に行った所、昨日の石はすっかり無くなり、代わりに馬のフンが麦畑にびっしりと並んでおったで。
吉四六さんは、うそ泣きをしながら言おったで。
「オロロ、あいたよー。とっといかれん。
だれのいたずらやろか。
ウチの麦は駄目になっチしまうがのう」
思った通り、畑の馬糞は日毎に量を増したんや。
吉四六さんの畑からは、例年の倍以上の麦が採れたで。
そしちちうもの性悪キツネは、もう決しち野津村に姿を見せませんやったとさ。
(参考)よいこのおおいた弁講座http://www.coara.or.jp/~yuki/hougen/yoiko.htm
吉四六さんの民話 完)
今回大分弁で吉四六さんの民話を紹介した。
私の大分弁は語尾に「ッチ」をつけてごまかしているだけの気がするが。。。。