きちんと生きている人はやっぱり強い

内海実さんの「きちんと生きている人はやっぱり強い」という本を読んだ。
「世の移ろいはどうであれ、人間には変わってはいけない大切なものがある。人間として誠実で、勤勉で、かつ正直であるごく当たり前の生き方。」
彼は本の中でそれを「愚直」といい、きちんと生きている人はやはり強いと位置付けている。私はタイトルと前段彼が述べている主張に共鳴し、思わず買ってしまった。
今や「勝ち組」「負け組」という言葉がメディアを賑わしているが、上流にいる2割の人間が8割の所得を得て、残りの8割が2割の落ちこぼれで食べていかなければならない社会は誰が見てもおかしい。
まともにやっている8割の人間が、気がつけば「おいてけぼりの負け組」にされてしまってはいけない。
「終身雇用、年功序列制。こうした社会の安心装置がなくなった今、誰もが正規社員で給料は年とともに上がっていくのは無理にしても、汗水流してコツコツ働く人がバカを見る世の中は間違っている。」
日銀の福井俊彦総裁さんにしても、村上ファンド村上世彰さんもライブドアの掘江貴文さんもテクニックや手法に走ってしまい、大事なステップを踏まなない人はどこかで何かを踏み外してしまう。
頭がよくてデキる人はとかく策に溺れがちだが、結局、組織や社会を動かしているのは血の通った人間であり、「金で人の心も買える」と嘯き、社員の血のにじむような会社をマネーゲーム同然で売り飛ばす人に心の幸せは訪れないと思う。
一つを失えば一つを得る。そういう意味では世の中バランスが取れている。
「出る杭は打たれる」村上世彰さんや掘江貴文さんは時代の寵児と呼ばれ、目立ったために逮捕されたという見方もあるが、私はそうは思わない。「たくさんお金を稼ぐ」ことは悪いことだとは思わないが、法律に触れない範囲内ならお金のためなら何をやっていいというわけではない。
誰かを引き釣り下ろしてまで勝とうという強引なやり方は短期的な成功は得られるかもしれませんが、長期的な成功は望めない。
負ける人のおかげで勝てるんだよなあ。
相田みつをさんの言葉どおり、勝者の陰には常に敗者がいる。その「おかげ」という感謝の気持ちを忘れてはいけない。
『人の成長や人間関係において、そこに近道はない。近道を探すことは落胆と、フラストレーションをもたらすだけである。』
ティーブン・R・コヴィー氏の著書『7つの習慣』の中での言葉である。
少し脱線してしまったが本の話に戻ろう。