すべては信濃国からはじまった信州の秘密

sakurasaku20052006-05-30

第1話 善光寺お血脈

半年近くにわたり書きつづけてきた愛すべき県民性。
今回紹介する長野県が47番目最後の県である。
今日はその信州にちなみ善光寺お血脈(けちみゃく)という落語から。
お血脈のご印」とは一分というお金を出して、この印を額に捺してもらうと、その罪が消え極楽往生できるといわれた善光寺にある御印のことである。景気が回復してきたとはいえ先の見えないこのご時世。地獄でも死者が集まらず不況に喘いでいた(笑)
閻魔大王「皆のものよぉ集まってくれた。地獄も今や経営がとても厳しい。よって、今日は皆のものに地獄の復興策を申し述べてもらいたい。どぉじゃ? 何か良い手はないか?」
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「大王様、いかがでございましょ〜、USJの誘致といぅのは。」
「何じゃ? そのユーエスジェーといぅのは。」
「ユニバーサルスタジオ・オブ・ジゴクでございます。血の池にサメを放ちまして三途の渡し舟を浮かべて遊覧したり、マウンテンバイクにETを乗せまして針の山巡りといぅのはどぉでございましょ〜か?」
「ん、それはなかなか良い案であるなぁ。それはすぐできるのか?」
「そぉですなぁ、企画に三年。本家USJとの交渉に八年……」
「アホなことを申すな、そんなに待てるか。ほかに良い案はないか?」
「私が調べたところ、娑婆の善光寺といぅところに血脈のご印いぅのが下しおかれまして、額にポ〜ンと捺してもらいますと皆が極楽へまいりまして、地獄の衰微をきたしたものと思われます。それを盗み出してはいかがでしょう。」
「なるほど、それはなかなか良い。早速泥棒リストを持ってまいれ。」
ということで数ある泥棒リストの中から石川五右衛門が抜擢された。
彼にとっては久しぶりの晴れ舞台。黒の三枚小袖に幅広の緞子の帯をキリッと締めて、白鞘の大小かんぬき差し、頭は大百、威風堂々と閻魔の庁へやってくる。
「大王さまに申し上げます、石川五右衛門到着いたしました。」
「おぉ、苦しゅ〜ない、通せ。」
「これわこれわ、大王様、初めてお目にかかります、石川五右衛門めにござりまする。ご尊顔を拝したてまつり恐悦至極に存じ上げまする。」
「おぉ、五右衛門か。その方を呼んだのは他でもない、お主に娑婆の信濃にある善光寺という所に行って、血脈のご印なるもの盗み出してもらいたいんじゃ。」
「ははぁ〜〜、血脈のご印を盗み出すなど、赤子の手をひねるよりもた易きこと。ご安堵ください、大王さま。」
「それは頼もしい。しかと頼んだぞ。」
早速、石川五右衛門、娑婆に参ります。そのままの恰好では目立ちますから変装をせんといかん、といぅので着物を脱ぎまして縁の下に放り込みますと、黒のジャージで善光寺に出向きます。そこで寺内を物色しますと。
「……いろんなモノがあるなぁ。これは金剛力士像か、ヒスイ、エメラルド、何じゃこりゃ? 水戸光圀のつけ髭? ……血脈のご印はどこだ?」
探しておりますと、大きな箱がございます。フタを取りますといぅと、またフタが。そのフタをとると、またフタがある。フタを取るとフタ。フタ、フタ、フタ。取ってまいりますと墨で黒々と「血脈のご印」と書いてございます。
賢い泥棒ですとシュッと懐へ入れましてしまうのですが、芝居好きの五右衛門、よっぽど嬉しかったと見えまして、血脈のご印を持ちますと……
「だぁ〜ハッ、どぅぁ〜ハッ、どぁ〜〜〜ハッ、だぁハッ、どぉハッ。ありがてぇ、かたじけねぇ、まんまと善光寺の宝蔵に忍び入り、奪べぇ盗ったる血脈の印。これさえありゃ、大願成就ぅ〜〜 …………。」
嬉しさのあまり手を振り踊った弾みに血脈のご印が額にペタッ!!
石川五右衛門
極楽へ行ってしまいました。
長野県といえばおやき、信州そば、りんご、野沢菜干し柿、杏、高原野菜などの食べ物、軽井沢、志賀高原、美ヶ原、蓼科高原、白馬、上高地、霧ガ峰、白樺湖、女神湖、寝覚の床などの観光地、善光寺長野オリンピック開催地として有名である。
キッセイ薬品セイコーエプソンの本社がある。
長野県を舞台にした小説には島崎藤村の「夜明け前」「破戒」「千曲川スケッチ」芥川龍之介の「河童」、堀辰雄の「風たちぬ」新田次郎の「聖職の碑」、北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」、池波正太郎の「真田太平記」などがある。
また映画作品には小泉堯司監督寺尾聡、樋口可南子阿弥陀堂たより」(飯山市、同監督深津絵里博士の愛した数式」(千曲市小諸市松岡錠司監督、妻夫木聡、田辺聖一の「さよならクロ」(松本市土井裕泰監督、竹内結子中村獅童「いま、会いにいきます」(諏訪市松本市相米慎二監督工藤夕貴台風クラブ」(佐久市などがあり、ドラマでは松本の高校を舞台にしたTOKIOの永瀬智也と酒井美紀京野ことみ、相原崇の白線流し」、NHK連続テレビ小説「かりん」、長野を舞台にした豊川悦司永作博美の「青い鳥」、安曇野を舞台にした財前直見要潤の「電池が切れるまで」などがある。
漫画では小山田いくよの「スクラップブック」、たかみよしひさの「軽井沢信シンドローム」、ゆうきまさみの「超人人間アール」等がある。
草なぎ剛君と広末涼子さんでリメイクした*1「愛と死を見つめて」の作者河野実さんは伊那北高校出身である。
長野県は県堺に日本の屋根とよばれる北アルプル、南アルプス中央アルプスなど標高2000m〜3000m級の高山が連なると同時に天竜川、木曽川千曲川犀川(合流しのちに信濃川)など数多の地域の水源にもなっている。
南北に長く、山に分断さえているため、同じ県内でも気候が違う。
そのため、盆地単位にそれぞれ異質な地域社会が構成されているため、「長野県は信州合衆国だ」という田中康夫知事は言っている。
(つづく)

*1:最初は、山本學さんと大空真弓であった