番外編 こんなに違う京都人と大阪人と神戸人

愛すべき県民性にからんでGWに読んだ本4冊目をご紹介。
同じ関西でも京都と大阪と神戸の違いを、言葉や文化、歴史、食べ物から分析したとても面白い本である。
「あなた、関西人ですか」という問いに
京都人は「へぇ。そうどすけどほんまは京都どす」とやんわり否定し、神戸人は「いえ、神戸の方です」とあっさり受け流し、大阪人だけが「そうだす。やっぱりわかりまっか。なんで見破られたんやろ。かなわんなぁ」と更に別の会話まで引き出していくという。
時折、読んでいて吹き出してしまう中々の名作である。
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千年以上の歴史を持ち、未だ天皇万歳と気風を持つ京都人は実は革新派が多くヨーロッパ的な新しモノ好きなので、神戸には憧れを持っているということ。
神戸は歴史が浅く、風光明媚、街自体もハイカラな雰囲気そのものなのに、そこに住む人は意外に保守的だということなど信州人の私にはどれも興味深い。
大阪人が饒舌なのは、大阪は商人の街なので、商売上の会話はなだめたり、すかしたり、喧嘩にならないよう駆け引きしながら進むため、自然と辛辣なこともユーモアの衣で包むようになったからだという。なにせ喋ることはただだからという作者の見解は面白い。
大阪は長い間、支配というものが存在しなかったから、未だに無秩序、無道徳の人が多い困った街だと大阪出身者の作者が言い切るところがまた面白い。
作者に言わせるとイラチは大阪の風土病だそうだ。
第8項で京阪神の言葉の違いを解説しているが、全体的に関西弁は言葉を柔らかく包むことで対人関係を円滑にしている。
例えば標準語で、飲みすぎと妻に言われる時でも
「あなた、そんなに飲んだら体こわすわよ。あなたが病気なったら家族はどうするのよ。」と言われると門が立つが
「あんさん、そないに飲んではったら体こわしはりますがな。あんさん病気にでもなり張ったら家族はどないしますのん。」
と言われると怒られた気がしなくなぜか和む感じがする。
郷土の持つ言葉には不思議な魅力があるのだとあらためて思った。
本書は京阪神の違いを、味覚、気質、暮らしぶり、言葉などから徹底追求している。関西好きの人にはたまらない1冊である。