ニューワールドの感想

sakurasaku20052006-05-24

監督・脚本:テレンス・マリック
出演:コリン・ファレルクオリアンカ・キルヒャークリスチャン・ベイルクリストファー・プラマー、デヴッド・シューリス
劇場:長野松竹相生座
公式ホームページ
http://www.thenewworld.jp/
結構前に見たのだが、紹介が今ごろになってしまった。
遠い昔、17世紀初頭。アメリカ大陸が新大陸と呼ばれていた頃の時代。この作品はヨーロッパから移民が進みはじめる頃のアメリカの物語である。
イギリスから着た入植者たちとネイティヴ・アメリカンとの交流、スミス大尉(コリン・ファレル)と曹長の娘ポカホンタンス(クオリアンカ・キルヒャー)の愛を描いた作品でもある。アメリカ人にとっては古典的に有名な話らしい。
そのニューワールド、私が見た感想は・・・・
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ズバリ、NHKの自然紀行を見ている感じであった。
アメリカの大自然、特に川を描いた映像は美しく、時折、映像がピタリと静止し、真っ暗になる。静と動が細かに繰り返されている手法はさすが「シン・レッドライン」をつくったテレンス・マック監督の作品だけあり、見応えがある。
ただ、あまりにも自然(映像)に重きを置いたため、全編が交響曲を聴いているような退屈さを覚える。まるで、「眠れ〜、眠れ〜、母の胸に」とゆりかごの歌を聴いているような物語は、かなりの映画好きか自然好きでないと途中眠くなると思う。
映画としては2時間しかなく普通の長さであるはずが、妙に長く感じる映画である。
私は物語が1部と2部の分かれているように見えた。
第1部は、イギリスからの入植者とネイティブ・アメリカンの対立、スジョン・スミスとポカホンタスの恋を描き、第2部は打って変わって、入植者と現地民の共生、ポカホンタスとジョン・ロルフの愛を描いている。
驚いたのが、その二人の男性から愛されるヒロイン「ボカホンタス」を演じたのがなんと15歳(当事14歳)のクオリアンカ・キルヒャーさんということだ。
作品の中で少し幼い感じはあったがこの感想を書くまで、こんなに若い娘だとは知らなかった。監督からは“水になるように”と言われたそうで、「水のように表情に幅を持ち、少し謎めいた感じで、スミス大尉とロルフの心を捉えてる」よう演技に心掛けたという。
新人とは思えぬ彼女の演技と彼女が2人の男性の間を揺れ動く心もこの映画の見所である。
何度もいうようだが、この作品は映像と物語がとても綺麗で、まるでクラシックを聴いているように進む。
この作品で何を訴えたいのか鈍感な私にはわからなかったが、不思議なことに最後まで見終えると、ちょっと退屈だけど、なかなかいい映画じゃないかと思わせる作品である。
ジェームズ・ホーナーの美しい音楽は十分楽しめる。
ただその美しい音楽にに合わせ流れる野鳥の声が、私にはカエルの鳴き声に聞こえ、目を閉じると森ではなく、美しい田園風景が浮かんできてしまうところが、「私って田舎者」と感じて悲しい。
万人にはお薦めしないが、テレンス・マリック監督の描く美しい映像を見てみたい人、ロミオとジュリエットが好きで何度も見ても飽きない人、そして何と言ってもネイチャー(自然)が好きな人にはお薦めしたい。