べらんめえの江戸っ子は何人いる?東京都 前編

今日から3日間に渡って東京の都民性を紹介したい。
都民性といっても1260万の大都市には根っからの江戸っ子は少数しかおらず、ほとんどが地方出身者、またはその2世、3世で出来た街である。そこで、今日は江戸落語から「寝床」の話を一席。
昔お江戸の町に浄瑠璃好きの旦那がいたそうな。旦那は長屋の人たちに浄瑠璃義太夫)を聞かせるのが大層楽しみだったという。そこで旦那はまた長屋の住人達を集めて十るり会を開こうとするのだが。。。。
旦那「佐兵衛や、佐兵衛はまだ帰らないかい? 帰ったらすぐにあたしのところへよこしておくんなさいな。」
佐兵衛「へぇ、遅くなりましてすいません。長屋をすっかり回って参りましたので。」
旦那「いや、ご苦労様。お前さんのことだから手落ちはなかったろうと思うけど、提灯屋へは行ってくれたろうね。「旦那様、どうしてあたくしにだけ結構なお浄瑠璃をお聞かせくださいませんので」なんて嫌味を言われちゃかなわないからね。」
佐兵衛「はい、そのようなことがございませんよう、提灯屋さんには一番始めにまいりましたが、なんでも今夜は開業式の提灯を仕上げなきゃならないそうで、まことに残念ながら、また次の機会に、ということでございました。」
旦那「おや、そうかい...そりゃぁ気の毒なことをしたなぁ。せっかく義太夫が好きだというのに運の悪いやつだよ、まったく。あたしが義太夫を語ろうってぇときにゃいつも聞かれないんだから...まぁ、いい。
で、荒物屋はどうしたい?」
佐兵「は衛い、荒聞きにうかがったということが知れますと、親戚が何かとうるさいので、せっかくの催しでございますが、旦那によろしくとのことでございました。」
旦那「お産じゃぁ、仕方あるまい。じゃあ、金物屋はどうした?」
佐兵衛「なんですか、今晩無尽がございまして。誠に失礼ながら浄瑠璃の会は欠席ということで。」
旦那「そうかい。で、豆腐屋は?」
佐兵衛「豆腐屋さんでは、お得意様から生揚げとがんもどきを八百五十ばかり請合ったとかで、家中でおおわらわにやっておりますが、中々はかがいかないようで...残念ながら、欠席と。」
旦那「豆腐屋さんもダメなのかい。じゃあ、梅吉はどうした?」
佐兵衛「梅吉さんは何でも脚気だそうで。とても浄瑠璃の会は。」
旦那「脚気は足の病気だろ。どうして義太夫が聞けないのかい。じゃあ弥太郎は。」
佐兵衛「弥太郎殿は眼病で、浄瑠璃にはいけないとのことで。」
旦那「おかしいじゃないか。眼病ってのは目の病気だろう。義太夫を聞くに目は関係ないじゃないか。で、うちの家内はどうしたい」
佐兵衛「奥様は旦那様が浄瑠璃会を開くと申したら、二、三日実家へ行って来るとおっしゃいまして、お嬢ちゃんを抱いてお出かけに。。。」
旦那「わかりましたよ。浄瑠璃会は止めますよ。止めればいいんでしょ。どいつもこうちも私の浄瑠璃をばかにしやがって。」
旦那様、大層お怒りになって、こんな薄情な人たちは明日の朝までに長屋を追い出すとまで言う始末。慌てて佐兵衛は長屋の住人を説得し、浄瑠璃会が開かれた。しかし、夜もふけてきて、旦那の話が退屈なので、聞いている住人達はみんな寝てしまった。
旦那「静かになったと思ったら、みんな寝てやがる! なんだい。えぇ!? ひとりだって芸の分かるやつはいやしない! 
誰だ、誰だい、そこで泣いてるのは!なんだ、定吉じゃないか。何を泣いてるんだ? え? 悲しゅうございます? そうか、よし、こっちへおいで。泣くんじゃない、泣くんじゃないよ。私の義太夫の何処が悲しかったかい。『宗五郎の子別れ』かい? それとも『先代萩』かい。」
定吉「そんなところじゃありません。」
旦那「さあ、泣いてばかりいないで、云ってごらん。どこが悲しかった?」
定吉「あそこでございます。あそこで。」
旦那「あそこ? あそこはあたしが義太夫を語った床じゃないか。」
定吉「はい、そこが私の寝床でございます。」
東京といえば江戸前寿司、そば、鳩サブレ、ひよこ饅頭、東京ばな奈、お台場、浅草、東京タワーや東京ドーム神宮外苑両国国技館、皇居や国会議事堂、霞ヶ関の官庁街、新宿副都心、寅さんと柴又帝釈天、吉野の梅林、上野動物園六本木ヒルズ明治神宮読売ジャイアンツ東京ヤクルトスワローズ、FC東京や東京ヴェルディなどが有名である。
日本の首都であり、ここに本社を置く会社は計り知れない。
東京を舞台にした小説には夏目漱石の「こころ」「我輩は猫である国木田独歩の「武蔵野」、幸田露伴の「五重搭」、森鴎外の「雁」三島由紀夫の「豊饒の海村上春樹の「海辺のカフカ」、宮部みゆきの「理由」など多数ありこれまた紹介できない。
同様に映画作品には山田洋二監督の「男はつらいよ」、実相寺昭雄監督の「帝都物語」、長谷川和彦監督の「太陽を盗んだ男」、小津安二郎監督の「東京物語」、高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」、近藤喜文監督の「耳をすませば」(ともに多摩市が舞台)など。
最近の話題作ではジャンレノと広末涼子の「WASABI」、本広克彦監督、/織田裕二柳葉敏郎深津絵里真矢みき出演の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ! 」中島美嘉宮崎あおいの「NANA」などがある。
また、時代劇にはほとんど江戸城が描かれている(時代劇に出てくる江戸城は姫路城だが)ので舞台は東京といってよい。
アニメ(漫画)でも手塚治虫の「鉄腕アトム」、和月伸宏の「るろうに剣心」、長谷川町子の「サザエさん」、藤子不二夫の「ドラえもん青山剛昌の「名探偵コナン」(米花市)秋元治の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、高橋留美子の「めぞん一刻」、北条司の「シティハンター」、大友克洋の「AKIRA」等多数ある。
果たしてこの東京、どんな街なのか。
(つづく)