いぶし銀の栃木県

前回までのあらすじ

栃木県は江戸時代から宇都宮藩が1万石、一番多い鳥山藩でも3万石しかない。幕府が小藩、旗本領、天領などを細かくおき、大藩の統治を受けなかったことが原因のようだが、その結果あまりまとまりがあるわけでなく、県民意識も低いといわれている。
茨城や群馬のような目を引くような個性はないが、気性の荒い北関東の中で、唯一穏やかな印象を持たれている。
私が栃木といってまず印象的なのが日光、那須、鬼怒川など温泉や高原、そしてゴルフ場などの観光リゾート地ということだ。
現に栃木県日光市はリゾートホテルの発祥である。明治6年、日光市の金谷善一郎さんの自宅にヘボンローマ字の提唱者ヘボン氏を泊めたことが、以後博士の勧めで外国人専用ホテルとして開業し、リゾートホテル発祥の地といわれている。
また、宇都宮は1世帯辺りの餃子消費量全国1位の町である。
あまり知られていないが静岡もかつて全国1位になったことがあり、両市は餃子に関してはライバルである。宇都宮で静岡の餃子を褒めない方が良い。
また、農業生産ではニラ、いちご、かんぴょうの生産が全国1位だそうだ。宇都宮が餃子の消費量全国ナンバー1の理由はニラの生産が盛んなことも起因しているとのことである。
矢野新一さんの県民性ワールドによると栃木県の男性は正直で真面目、律儀で堅実だが,慎重すぎて積極さに欠けるきらいがある。また口下手で、はっきりしない優柔不断な人が多いという。
しかし中には異質の人間もいるようだ。私の友人のてん君とF君は口下手というには程遠く、詭弁という言葉がよく似合う二人だった。
一方、栃木県の女性は同氏によると明るく、控えめだけれど芯は強く、外見は女性らしいというより男っぽく見え、行動力がありバイタリティがある逞しいタイプが多いという。
本当だろうか。私の知っている栃木県の女性はそのF君の彼女だけだが、外見は控えめで女らしい人だった。
ただ女性が「しっかりしなさいよ」と男性の尻をたたいているのは事実のようで、F君は一見自由に行動しているようで、彼女の手のひらの中で動かされていただけだった。
今回の県民性の紹介は少し私情が入ってしまったが、こんな栃木県と付き合うにはどうすればよいのだろうか。
彼らは愛想を振り撒かないから第1印象はあまりよくない。
しかし、親しくなるにつけ信用のおける人が多い。
まずは「みんみん」で餃子を食べながら、田中正造の功績を褒め称えよう。
パチンコ好きの人が多いからパチンコの話をふっても良い。
彼らが山といったら男体山だからその辺は押さえておこう。
もともとは誠実な人たちだから、親身になって話を聞いていけば、きっとあなたの味方になってくれるに違いない。
「とつぐけん」なんて訛りを聞いても聞かないふりをしよう。
彼らは茨城県より自分たちの方が都会だと思っているから、茨城弁より栃木弁の方が訛ってるなんて言ってはいけない
もしかしたら読んでいる方の中に栃木県を東北と思っている人がいるかもしれないが、彼らは関東にプライドを持っているので言葉には気をつけよう。
その県民性は「するめ」とも言われ、噛めば噛むほど味が出るといわれている。
だから時間をかけてじっくり付き合おう。
彼らは素朴で器用に立ち回れないけれど、真面目で誠実な人のいい人たちなのだから。
栃木の県花:ヤツオツツジ/県木:トチノキ/県鳥:オオルリ/県民歌:栃木県民の歌