俳句と発明の国 愛媛県

親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている。(中略)
挨拶をしたうちに教頭のなにがしと云うのが居た。
聞けばこの男、年中赤いシャツを着ているという。妙な病気があった者だ。
英語の教師に古賀という大変顔色の悪い男が居た。
百姓出はあんな顔色になるのかと清に聞いたところ、うらなりの唐茄子ばかり食べるからだと教えてくれた。
俺と同じ数学の教師に掘田という男が居た。
「やあ君が新人か、ちと遊びにきたまえアハハ」だと。誰がそんな礼儀しらずの奴の所へ遊びに行くものか。俺はこのときからこの坊主に山嵐というあだ名をつけた。

いつ読んでもユニークな夏目漱石の坊ちゃんの一節である。
その舞台となったが松山市があるのは愛媛県だ。
愛媛県といえば伊予柑デコポンポンジュースキウイフルーツ、一六タルト、道後温泉坊ちゃんスタジアム伊予鉄今治のタオル、野球拳は発祥の地から宇和島東など高校野球の強豪で野球の盛んな県と様々なイメージが浮かぶ。
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愛媛出身の有名人では、ノーベル文学賞作家の大江健三郎、「世界の中心で愛を叫ぶ」の片山恭一スポーツライター二宮清純、映画監督の伊丹十三、俳優では仮面ライダー藤岡弘、タレントの眞鍋かをり青田典子、お笑いの友近、村上ジョージらがいる。
また、東京ラブストーリー*1でカンチの故郷は愛媛であり、がんばっていきましょい*2松山東高校をモデルにし、世界の中心で、愛に叫ぶ*3が描かれた町も愛媛県が舞台である。
私の愛媛(松山)のイメージは俳人の町、風流の町である。
現に正岡子規をはじめ、高浜虚子河東碧梧桐など世界に誇る俳人をたくさん輩出している。
愛媛出身の私の敬愛する前田伍健さんは野球拳で有名だが実は川柳の大家である。

  • なんぼでもあるぞと滝の水は落ち

彼の川柳は飄々としていて風情がある。彼は死後、松山から笑いが失われたといわれたくらいユーモアある人であったようだ。
他にも平成14年度に国際俳句フェスティバルが開かれたり、俳句甲子園という高校生の俳句の大会があったりする。
街並みには俳句の句碑が多く、県には文化振興財団もある。
このように愛媛県は文化・教育が充実し、俳句が盛んな県である。
真説県民大図鑑には愛媛県人を
ゲイシャガールとオザシキプレーの遊びを考えだした、なんと素晴らしい成熟した大人の文化」
「俳句の国、ガイジンにはたまらない場所」
などと表現していてなかなか面白い。
こうした文化の街だからこそ、ライト兄弟より12年も前に模型飛行機を飛ばし、日本で最初の飛行機を発明した二宮忠八さんや「青が出来れば何色でも作れる」といって青色発光ダイオードをつくった中村修二教授のような発明家が生まれるのだろう。
一方、愛媛は大きく東予中予南予の3地域に分けられ、それぞれ気質が異なるといわれているが、全体的には陽気でおおらか、のんびりした気質を持つ。
これは温暖な瀬戸内海に面し、食べ物は豊富という自然環境に恵まれたせいだといわれている。
ほどほどが一番、あまり欲がなく、あくせくせずにある程度の生活が出来れば、それで十分と考えているのが愛媛県人なのである。
突出した派手な生き方よりも、静かでゆとりある生活を望む。
私の目指す生き方を地でいっているのが愛媛県人である。
こんな愛媛県人と付き合うには、一緒に温泉につかりながら、俳句をたしなむなんて方法が風情があってよい。
県農えひめポンセンター*4でみかん談義にふけるのもいいだろう。しかし、水道の蛇口からポンジュースがでるポン道があるという噂は嘘なので知っておいたほうがいい。
また愛媛大学のことを「あいだい」と呼ぶそうだ。
私が新潟にいたとき、地元の人は新潟大学を「しんだい」と呼んでいたが、愛知大学信州大学の立場はどうなるのだろうと考えるのは大きなお世話である。
彼らはもともと陽気で大らかな人たちなので、自分の趣味や遊びの話をして大いに盛り上がろう。そうすればあなたの中に文学や発明が起こるかもしれない。
愛媛の県花:みかんの花/県木:松/県鳥:コマドリ/県魚:真鯛/県獣/県歌:愛媛の歌ニッポンカワウソ


テクノラティプロフィール

*1:鈴木保奈美織田裕二江口洋介有森也実千堂あきほらが出演

*2:映画は田中麗奈、真野きりな、清水真美、葵若菜、久積絵夢松尾政寿、白竜、森山良子、中嶋朋子らが出演、ドラマは鈴木杏錦戸亮田口淳之介相武紗季岩佐真悠子石田ゆり子大杉漣らが出演

*3:映画は森山未來長澤まさみ、ドラマは山田孝之綾瀬はるか主演

*4:POMジュースは、昭和27年製造以来ずっと親しまれているロングセラーみかんジュース。愛媛県農業協同組合連合会(県農えひめ)が製造・販売している。地元には一般市場には流通しない「えひめみかんジュース」と言うオリジナルジュースもある。