心の琴線にふれるとき

sakurasaku20052006-01-28

たったひとつの言葉や行動が、琴線にふれ、人生を動かすことがある。
昨日、妻と会社の同期のT君とK君と4人で久しぶりに飲んだ。
大学時代の友人から不思議がられるが、私の会社は同期が仲がよい。
勿論、全ての人が仲がいいわけではないが、一般に会社の同期はライバル関係にあり、私生活まで仲が良いのは珍しいと友人に言われた。
半年前、そのT君が妻と私を家に招待してくれたことがある。
当時、私は休職中で、人に会うのはおろか、外に出ることも出来ないくらい落ち込んでいた。
妻も私の看護に疲れ、夫婦でこの先の収入も不安、病気が治らないとこのままどうなるのだろうと本当に途方に暮れていた。生きる価値さえないと思った。
そんなとき、彼が食事に誘ってくれた。
あのときは涙が出るほど嬉しかった。
彼にとっては、特別なことではなかったかもしれないが、私にとっては本当に救われる思いだった。
彼が誘ってくれた理由は2年前の彼の誕生日に私がロールケーキを贈ったのを奥さんが覚えていてそのお礼をしたかったからだという。
たったそれだけのことが私たちを救うきっかけとなった。
なぜ2年前のお礼が今、という細かいことはおいておいて、たった数百円のロールケーキが彼と彼の奥さんの心に触れ、それが私たち夫妻を助けてくれた。
人生とは不思議なものである。
人間誰しも欲がある。
自分の生きた証を何かの形で残したいと誰もが思っていると思う。
私もそう思い、会社の中で形に残るシステムや店舗開発を行おうとしてきた。
でもそこには絶えず競争がついてまわる。
病に倒れ、競争に敗れたら何が残るだろう。
競争は子供の頃から常についてまわった。たまたま運良くレールに乗って今までうまくやってきただけだ。競争はいつも勝つとは限らない。
相田みつをさんの長男一人さんは父が亡くなって最大の賛辞は父が書家であることを知らない商売先の人が「相田さんはいい人だっだ」といってくれたことだという。
私も死んだとき「いいひとだった」といわれる人間になりたい。
迷いが消えた。大切なものを見つけた気がした。
あのときがあるから今がある。
私は彼ら夫妻には今も感謝している。

つまずいたっていいじゃない 人間だもの
相田みつを先生の言葉が心にこだまする。