ＴＨＥ有頂天ホテルの感想

昨夜、念願の三谷幸喜監督のTHE有頂天ホテルを見た。
笑って、笑って、笑い転げて、気がつくと涙がでて（笑いすぎかな）、そして見終わった後、なんだかハッピーな気分になれる。
これが私の率直な感想である。
この作品はアバンティというホテルを舞台に大晦日から新年のカウトダウンパーティまでの２時間を描いたものである。
上映時間も２時間強なので話の展開が自分の中でオーバーラップしやすい。
しかし、たった２時間で人間はこうも変われるものなのか。
三谷監督らしい小ネタの連続による笑いの中に、人生の縮図が垣間見れる。
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役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、ＹＯＵ、オダギリジョー、角野卓造、寺島進、浅野和之、近藤芳正、川平慈英、堀内敬子、梶原善、石井正則（アリtoキリギリス）、原田美枝子、唐沢寿明、津川雅彦、伊東四朗、西田敏行

２３人の超豪華キャストによる怒涛のノンストップエンタテーナメント。
監督、キャスト、スタッフ、観客、私、気分は最高！有頂天！？。
何を言っているのだろう？とにかく面白い映画である。

ストーリー

本作品は大きくわけて、４人の登場人物のそれぞれの物語から成り立っている。
過去を持つホテルの副支配人新堂平吉（役所広司）。
歌を愛するベルボーイ只野憲二（香取慎吾）。
人生崖っぷちの汚職国会議員武藤田勝利（佐藤浩市）。
元議員の愛人、今は客室係り竹本ハナ（松たか子）。
ネタバレになるので、これ以上は言わないが、彼らを含む、その他すべての登場人物のエピソードが断片的に連なり、最後はジグソーパズルが出来上がるように１つの物語に重なり合っていく。
まさに三谷幸喜監督ならではの、緻密に計算された脚本が、幾何学的に美しく、映画の中の群像劇として出来上がっている。

印象に残ったところ（ちょっとネタバレ(^_^ﾒ)）

• くねくねダンス

この映画を見た人ならこのダンスがどんなダンスなのか興味を持つに違いない。
私はてっきり記者会見で間違ってこの写真が公開されると思っていたが、公共の電波に耐えうるものではないらしい。でも、やはりいろんなことを想像してしまう。
そうしたことを想像させる三谷監督の演出が心憎い。
でも、見たい。

• ダブダブ

主要キャストだけで２３人、その他、ココリコの田中さんや八木亜希子さん、高島彩さんなどちょい役を含めると実に多数の人がこの映画に出ている。
しかし、その中で私が最優秀助演男優？賞を与えるならアヒルのダブダブ君だ。
「よーく考えようお金は大事だよ。」
映画の中でアフラック（アメリカンファミリー保険）の歌を勝手に心の中で口ずさんでいたのは私だけだろうか。
彼の神出鬼没な現れ方とかわいいお尻が私を笑わせ、和ませた。
しかし、三谷監督、小ネタに動物を使うとはずるい。

• 青ジャージでいいこというじゃねぇかバカヤロー

「俺たちがなんとかしてやるよ」
今回の寺島進さんはスパニッシュマジシャンという今ひとつわかりにくい役だったが、パーティで歌えない桜チェリー（YOU）のために、腹話術師役の榎木兵衛さんといったこの台詞はかっこよかった。やはり彼はバカヤロー節が良く似合う。
また、カウントダウンパーティでIF MY FRIENDS COULD SEE ME NOWを歌うYOUを見て、彼女が歌手（フェアチャイルドの一員）であることを思い出した。
歌うかったんだね!(^^)!

• 筆耕係りって何だ

オダギリージョーさん演じる筆耕係。
実際にホテルには披露宴や宴会の案内や席順を書く係りがいるそうで、三谷監督が取材の中で書き加えたのがこの筆耕係である。
少しネクラで小心な筆耕係右近をオダギリジョー君が見事に演じている。
「道具のせいにはしたくないが、筆が小さすぎるのだよ」
メゾンドヒミコの彼がこういう役もできるのかと感心した。

• ブルーハーツ

叶わない夢はない、諦めるな
ドンキホーテ、サンチョパンサ、ロシナンテ＆俺
ベルボーイの香取慎吾君が演歌歌手徳川膳武（西田敏行）のために歌う「天国生まれ」はブルーハーツの甲本ヒロトさんが作詞作曲している。
香取慎吾君が勢いで弾けないギターを弾いたという名曲だ。
このシーンが私は結構好きである。

他にも

• 総支配人（伊東四郎）はなぜ白塗りなのか。
• 坂東家（津川雅彦と近藤芳正）はなぜ親子でヨーダの耳をしているのか。
• 芸能プロ社長赤丸（唐沢寿昭）の髪型はなぜ１・９わけなのか。
• 桜チェリー（ＹＯＵ）はなぜコールガール（篠原涼子）の毛皮のコートを盗んだのか。
• 僕の生きる道の教頭先生（浅野和之）がはなぜ政治家秘書なのか。

などつっこみたくなる要素がたくさんある。
三谷監督が「とにかく自分が楽しみたい、笑いたい作品を作りたかった」というだけあってこの作品はあまり深く考えなくても楽しめる。
有頂天ホテルについても、スワロウテイル、不夜城でおなじみの美術の種田洋平さんの傑作だけあって、このホテルが実はセットであることに気づかない人は多いのではないか。
私もこんなホテルに泊まってみたいと思った口だ。

自分で一番やりたいものがやれることができた。
三谷幸喜監督が豪語するだけあって、彼にとって一番のヒット作になると思う。
おかえりなさいませ。
非日常であるはずのホテルが心のふるさとになるとき、素敵な出会いがはじめる。

YOUさんの歌っている曲
有頂天ホテルのモデルとなったホテル映画
有頂天ホテルの発想のもとになった映画