大きな木の下で

sakurasaku20052009-05-07

東京で何かに氣づき作ったのがこの童話。
現状に悩み苦しむ人たちに勇氣を与えたい。そんな想いもつまっている。
もし時間がある方、読んで頂ければ幸せだ(*^^)v
(写真は「ロールキャベツ」と「水・粉を使わないルーで作っているカレー」で有名なお店『ことこと』。上北沢から移転してきたそうだが、ここのロールキャベツはソースが美味しい。ボリュームがあって(*^^)v)
一歩前に♪勇氣をありがとうさくちゃんの甲信越blogランキング(*^_^*





あるとき、根っこ君がいいました。


「おーい、幹君、そとはどんなけしきがみえるのだい。さぞかし気持ちいいのだろうなぁ」
根っこは目がみえせん。ずーと土の中にもぐっています。
幹(みき)はいいました。
「根っこ君。けしきが見えても、地上は大変だよ。夏はあついし、冬は雪がふってこごえしにそうだ。」
「それより、おーい、枝(えだ)君、風にゆられる気持ちはどうだい。さぞかし気持ちいいのだろうなぁ」
幹はたくさんの枝を支えるために動くことができません。
雨の日も風の日もずーと、まっすぐ立っています。


枝はいいました。
「幹君。風にゆれても重いだけだよ。それより僕は花ちゃんのことがうらやましい。」
枝の先にはたくさんの花が咲いていました。美しい花が咲くと人びとはきれいに咲き誇る花々をみな「きれいだね」とほめたたえます。誰も枝のことなどみてくれません。
やがて、夏となり、きれいに咲きほこった花はみなちってしまいました。
大地には幹と枝と葉っぱが残りました。


ある風の強い日のよるに、枝君が幹君にいいました。
「幹君、ありがとう。僕は君のおかげで、こうしていきてこれた。」
幹君は枝君にいいました。
「それは違うよ。根っこ君のおかげだよ。根っこ君が土の下でずっと支えてくれたから僕は、こうしていきてこれた。」
「そうか、僕らはみんなつながっているのかい。」
「そうさ。僕らはみんなつがなっている。」
幹君はいいました。
「僕は根っこ君のおかげでこうして大地に君臨できる」
枝君はいいました。
「僕は幹君のおかげで僕は風に揺られて気持ちいい。」
空のかなたで妖精になった花ちゃんがいいました。
「そうよ。わたしは、枝君のおかげで、きれいな花が咲かせたわ。」
最後に根っこ君がいいました。
「僕は目が見えないけれど、君たちの言葉のおかげでまたがんばれる。」
太陽がのぼってきました。
大きな木から太陽をみると朝露がキラキラと輝いています。  written by 藤堂作太郎