恋愛小説といえば武者小路実篤?
クリスマスを前に胸がざわめく恋愛小説を1冊紹介してくれといったら、僕はこの本を薦めるだろう。
ムシャノコウジサネアツ・・・そんなの古典じゃないかとおっしゃる方もいるだろう。
確かに文体は少し難しい所もあるが、会話をベースで、厚さもたった118ページ。読みだしさえちょっと我慢すれば案外気楽に読める。
- 作者: 武者小路実篤
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1947/12/29
- メディア: 文庫
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この物語は端的に言うと野島君と大宮君、杉子さんの三角関係を描いた青春小説だ。
ただ、僕は読んでいてこんなにも歯がゆいというか恥ずかしいというか、複雑な思いをする小説を読んだことがない。
作者の心理描写が上手なせいもあるだろう。
本来10代、20代で読む本だろうが、僕は40代、50代、60代の人にもう一度読んで欲しい。
顛末を読めば一途に恋する野島君の想いに「ウォーーーー」と叫ぶかもしれない。
主人公は戯曲家を目指す野島君、そしてその親友の作家の大宮君、野島が恋した令嬢杉子さん、その友人の武子さん
それぞれの想いが伝わって胸がざわめく
それぞれがちょっとずつ屈折している姿が伝わってくる名作だと思う。
そもそも友情と愛情はまったく別物。こんなこと言われなくても知っているだろう
ただ「初恋」とか「青春」という言葉には懐かしさを感じるとともにほろ苦さを感じる。・・・それは決して心地いいものではない。
人間の揺れ動く気持ちを行間で感じる本。僕の今日のお薦めだ(笑)