エルちゃんのクリスマス

そうだ、あのときの感覚と一緒だ。徐々に記憶の扉が開かれていく。
少しずつ意識がはっきりしていくなかで、小さな鼓笛隊は波打ちながらもまだ行進を続けている。
でも様子がヘンだ。
その姿は蜃気楼のようにゆらゆらしながら、徐々に影が薄くなっていく。
真っ赤だった赤い帽子はだんだん白くになっていき、赤い制服と黒いズボンはくすんだ白の制服と灰色のズボンにかわっていく。
カラー写真が白黒写真に変わっていくような不思議な光景
まるで目の前で透明人間が透明になる前の着替えをしているようだ。
タッタラタータッタラター
鼓笛隊の音だけはまだ耳にこだまする。
少女はどこに消えてしまったのだろう。
突然、目の前が「ピカッ」と光った。(つづく)


(タイトルをつけてみました。コロちゃんの作者、エリック・ヒルを略した意味ともうひとつの意味があります。)