恩田陸さんの図書室の海

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

実は恩田陸さんの本をはじめて読んだ。
本編は「ピクニックの準備」「図書室の海」「春よこい」など10編の短編小説からなっている。凄い才能を感じる女性である。

ちょっと表現が難しく感じるところもあったが、彼女の文体のうまさと引き出しの多さには驚く。内容はミステリーあり、学園ものあり、SFあり、ホラーありと、凄くバラエティに富んでいるが、どの作品も続きが読みたくなるから不思議だ。
彼女の作品は映画化された「夜ピク夜のピクニック)」しか知らなかったが、他の長編小説も読んでみたいと思った。彼女の引き出しの多さを感じるにはいい作品だ。
ただ、あまりにもその多才すぎて、表現がちょっと難しいところがある。ちょっと消化不良のところもあった。でも、いい作品だ。
新潮文庫のヨンダ!私の好きな作家ベスト10の上位に入った作品だけある。
私はその中で「国境の南」という作品が一番印象に残った。何かあの漠然とした雰囲気とノスタルジックな感じがいい。ラストでちょっとドキっとさせるところもよかった。


後書にあるように、この作品はほとんどが長編への予告編として作られたものである。だから映画の予告編のように、本編を読んで見ないと本当のところはよくわからない。ただ、全ての作品が次を読みたくなる仕上りになっている。
短編「図書室の海」は「六番目の小夜子」の番外編だそうだ。この「六番目の小夜子」が特に読みたい(笑)。この関根一家の物語には「Puzzle」「象と耳鳴り」もあるという。
こうして、いつしか恩田ワールドに引き込まれ、恩田ファンになりそうな作品。買ってみて損はない1冊だった。
一歩前へ♪応援ありがとう甲信越人気ブログランキング