「ありがとう」の感想

この作品は、阪神・淡路大震災で家も店も、友達も失ったカメラ屋のおっちゃん古市忠夫さんが、そこから奮起して還暦でプロゴルファーになったという実話から出来ている。
私にとっては、昨年、一番印象の残る作品だった。
それは私がゴルフ好きで、神戸の街にいたからからかもしれない。
だが、「生きる」ことを愚直に、そして明るく表現した、いい作品である。
一歩前へ♪〜応援ありがとう♪甲信越人気blogランキング


但し、前半と後半では違った構成になっているから、ちょっとわかりにくい

前半は震災
総額15億円を投じ、監督が「全財産を失った人々を描くのだから、自分も一文無しになってもいい」という覚悟で作っただけあって、CGを使った震災の光景は迫力満点、良く出来ている。その時の切ない人間模様も伝わってくる。
逆にリアルすぎて、被災者の方の眼にはどう映ったのだろう。そんなことが心配になった。この作品が12年の時を経て、公開された意味はそこにあるのだろう。
後半は彼の挑戦
彼(古市忠夫=赤井英和)は、まっすぐで正義感の強い性格だが、ある意味いい加減だ(笑)。このいい加減さが柔らかい人柄を現していて、なんかいい。
彼を取り囲む周りの人たちがまたいい。
彼らの心の温かさ・優しさが関西弁でうまく包まれている。奥尻島から来た若い青年も良かった(いや、これはネタバレか(汗)
勿論、現実は彼のように成功した事例ばかりではない。でも笑いと涙で心が癒せる、いい作品である
苦しなったら顔あげて、奥歯折れるまでかみしめて、笑うんやで。辛いとき、切ないときでも笑うのは大切なんだ。きっとそう思える。
劇場を出たとき、涙が笑顔に変わっていたとしたら、きっとあなたを小さな幸せを手にしていることだろう。


監督:万田邦敏
原作:平山譲「還暦ルーキー」
出演 :赤井秀和田中好子薬師丸ひろ子尾野真千子前田綾花光石研尾美としのり柏原収史高橋和也今福將雄(Dr.コトーのあきおじ)、長瀬正敏、正司照枝豊川悦司佐野史郎鶴見辰吾仲村トオル、でんでん、島木譲二、Mr.オクレ
劇場:長野千石劇場3
ホームページ:http://www.arigato-movie.jp/