プログラムの半分は優しさで出来ている

「だから、おまえはいつまでたっても甘ちゃんだと言われるんだ。少しは大人になれ。」
先日、忘年会の席で本社のシステム課長殿からまた気合を入れられてしまった。_| ̄|○
白髪のこの課長殿、もう大分、お歳であるが、心の中はとても若く、安保闘争時代の学生のような情熱を持っている。
仕事は気合でこなす。昔の典型的上司である(汗)
一歩前へ♪〜元気をありがとう♪さくちゃんの甲信越人気blogランキング
技術屋上がり、とても頭はいいのだが、少々変わっている。顔立ちもミュージシャンのローリー寺西に似ていてちょっとインテリパンクっぽい(笑)
なんていっても論理的、合理的が求められるシステムの世界でプログラムは気合で動かすというのだから、パンクな課長だ。
ここだけの話、多分(いや絶対)、頭のネジが3本はないはずだ(まさかこのブログは見ていないだろう(汗)。
私は昔から、なぜかこういう変わった人に好かれる(汗)


とても正直な人で「オレは思っていることは口に出す。腹にはためない」と豪語している。
その課長から言われたのが冒頭の言葉である(笑)。
課長殿、1月から動く本社のシステムについて
「オレは正直、こんなくだらんしくみがまっとうに動くとは思えん。」という。自分の会社で作りながら、くだらないなんて言うのが課長らしい。しかも酔いと共に発言は過激さを増し、
「だがな、動かすと決まったからには徹夜してでも動かす。たとえSEが何人倒れようとも、オレは動かすんだ。そのくらいの腹と気合がないと動かん。」
黙って聞いていればよかったものを、この何人倒れようともという言葉に亡くなったMさんを思い浮かべてしまい、思わずキレてしまった(汗)
「課長、本社で課長が安泰でいられるのも、我々のような縁の下で汗水流して、支えている人たちのおかげだよ。それを将棋の駒のように、SEが何人倒れようとは、なんばいいっちょっと(なぜかヨッパッらったら九州弁になっていた)。」
こうなると止まらない。
「だいたい課長、システムといっても人が作る、人を大事にせんといかんと言ったのはあんたたい。世界で一番優秀なコンピュータは人間の頭だって言ったのを忘れたか。」
「アホ。いつの話や。そんな青臭いこと言っているから、おまえはオレと同じで出世できんのだ。」
「アホで結構、プログラムの半分は人に対する優しさで作れ、っていったあんたの言葉は忘れない。」
そうこう言いあう間に・・・・・時間が止まり
気がつくと課長は泣いていた。
Mさんのことを一番気に病んでいたのは課長だったのかもしれない。
「作、おまえ、やっぱり東京へ来い。オレだってそう思っても、いろいろあるのだよ。」
本社でも偉くなるといろいろあるらしい。
その夜、冷たい木枯らしが吹き荒れる中、課長はコートも着ずに一人ホテルに帰っていた。何度も送るといっても頑なにそれを拒んで。
最後に私の拳を両手でぎゅっと握り締め、「後は頼むぞ」
そう言い残して去っていった。
課長のその哀愁おびた背中を眺めながら、凍え切った体の中で、その手の温もりだけが、いつまでも残っていた。