手紙から 

以前紹介したように映画「手紙」を見た。http://d.hatena.ne.jp/sakurasaku2005/20061107
ネタバレになるので、映画をこの先見るという人はこの先を読まないで欲しい。
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私はこの作品で2つの言葉が深く心に突き刺さった。
ひとつは直貴君(山田孝之)が働く電気会社会長(杉浦直貴)に言葉
もうひとつは直貴の妻由美子(沢尻エリカ)が彼に言った言葉である。
■会長の言葉。兄が殺人犯と知られ、営業から工場に配置転換され落ち込む直貴に「君は、それは差別とは思っていないかい?差別は確かにある。でも、君はそこからは逃れられない。お兄さんは君ら家族の苦しみを含んで罪を犯したんだ。それでもきみはここで生きていくんだ。この場所からはじめなさい。そこから1本1本糸を広げていくのだよ」

世の中に差別はある。
私もそう思う。差別という言葉はあまりよくないので、区別といった方がいいだろうか。
長く生きていれば、誰しも「なんでオレだけが・・・なぜ私だけが・・・」と思うことはある。
私だって、『なんで自分のところだけ子供がいないのだろうか。』とか、『なぜ自分だけが一生背負わなければいけない病気になったのだろうか』と思っている(汗)。
それでもきみはここで生きていくんだ−。
その言葉を聞いて、自然に涙がこぼれた。
ちょうど2年前、山田孝之君の役柄のように、私は自分の人生を嘆き、ある意味諦めていた。普通の家のダンナは毎日仕事に行き、帰ってくれば子供がいる家庭がある。なのに、自分には何もない。そう思っていた。
子供のいる普通の生活というのが私にとって憧れだった。
だが、人間落ち込むだけ落ち込むと、後は自然に上を向くようになる。これ以上ない底辺を見ると、前を向いて歩こうという気になる。いつまでも、嘆いていても仕方がない、あるがままの自分を受け入れよう。そう思うようになった。
今まで築いたものは、全て無くなったと思って、ゼロからはじめる。そう思って、1年がたった。だから私はまだ第2に人生の1歳だと思っている。

■妻の言葉。子供が兄のことでいじめられ、直貴が引っ越そうと言った時「私たち何も悪いことせぇへんのやん。逃げたらあかん」
バリバリ仕事をしていた時代、どうしたら、もっとラクな生活、お金がある生活が送れるだろうか。そんなことばかり考えていた。
自分の気持ちや家族の気持ちと正直に向き合うこと怖かったから、ある意味、仕事に打ち込むことで何もかも忘れようとしていた。
そして、私から心の拠り所のその仕事がなくなった。
どん底の状態で苦しんでいる時、妻が言った言葉が↑と偶然にも一緒であった。彼女は全てのものから逃げようとする私を必死に支えてくれた。
だからこの言葉を聞くとあの頃のことが思い出される。
そんな意味で私にとって映画「手紙」は強く印象に残る作品となった。時に映画は自分の心の鏡を映し出してくれる。

戦いに参加する者はすべて勝利者である。
負け犬は決してリングに上がらない。
競争に参加する者は勝ち、負け犬たちは競争を回避する。
シェラー

競争という言葉はもう好きではないけれど、リングに上がる勇気だけはもっていたい。