数学が好きになる本「博士の愛した数式」
数学は芸術。そして美しい。
そんなことを教えてくれたのが小川洋子さんの「博士の愛した数式」である。
見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。
友愛数だ。
フェルマーだって、デカルトだって1組づつしかみつけられなかったんだよ。神の計らいを付けた絆で結ばれ合った数字。
私(家政婦さん)の誕生日と博士の腕時計に刻まれた数字(228と220)が、それぞれの約数を足していくと、相手の数字となる。*1
その「友愛数」を導いた博士の言葉を私は今でも覚えている。
小川洋子さんの淀みのない文章と、80分しか記憶が持たない博士と家政婦さん、息子のルートの3人の心温まる会話がその面白さに拍車をかけている。
博士が大の阪神タイガースファンというのも泣かせる(なんでやねん)
他にも博士に言わせると、カンゼン数は神様の手帳だけに書いてある数字になるし、三角数は実にエレガントな数字となる。
こんな感情豊かな数式の説明を受けていると、私も数学が好きになってしまう。
この秋お薦めの1冊。数学なんてつまらないなんて思っている人に読んで欲しい。
数学ってこんなロマンチックなものだったのか。
ちょっとしたつぶやき
なんと今回でこの本読むのは3回目(だから感想も3回目である(汗))
何が好きかというと、小川洋子さんの表現力。
感想にも書いたが、彼女の表現はとても耳に残る。
たとえばオイラーの公式は「予期せぬ宙からπがeに舞い降り、恥ずかしがり屋のiと握手する」となるし、博士の数式のメモは「鉛筆のかすれた跡から情熱を、×印からはあせりを、力強く引かれた2本のアンダーラインからは確信を感じ取る」となる。
数式をこんなステキに表現にきる小川洋子さんが羨ましい。
この作品、寺尾聡さんと深津絵里さん、吉岡秀隆さん出演で映画にもなっている。信州を舞台に撮影された映画、こちらも私、お薦めの作品である。
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2006/07/07
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