ゲド戦記の感想

監督・脚本: 宮崎吾朗 ゲド戦記・オリジナルサウンドトラック
原作:アーシュラ・K.ル=グウィンゲド戦記
出演:岡田准一手嶌葵、田中裕子、香川照之菅原文太風吹ジュン内藤剛志、倍償美津子、夏川結衣  挿入歌:テルーの歌 手嶌葵
劇場:長野グランドシネマズ
ホームページ:
http://www.ghibli.jp/ged/
宮崎吾郎第1回監督作品、ゲド戦記を見た。
巷では「サド戦記」と酷評され、原作ファンならず、ジプリファンまで怒っているという。この映画は外道戦記とまで言う人がいる。
これは一体どういうことなのか?
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私は期待していた作品だが、なるべく期待せずに見た。
確かに皆さんの言うことはわかる。
一言でいうと、吾郎さんの初監督作品としてこの作品は重すぎた。
若いだけに「怖いモノ知らず」で受けてしまったかもしれないが、この作品には父宮崎駿さんの作品のような見終わった後のじ〜んとくる広がりが無い。
それはなぜか。
そもそもゲド戦記は第1巻「影との戦い」では自分探しをテーマにはじめる。この映画は第3巻「さいはての島へ」を中心に描かれているが、物語の大事な背景について説明を省いているので、大多数の人が見ていて、訳がわからなかったように思う。
それには宮崎吾郎監督だけを責められない背景もある。
そもそもこの作品はジプリ作品を見た原作者が宮崎駿さんに映画化を依頼してきたものである。だが、彼はゲド戦記をイメージして今まで数多くの作品を作ってきたので、今更同じような作品を作れないと断った。
それを、鈴木敏夫プロデューサーがもったいないといって、息子の吾郎さんにやらせた。それも現場スタッフが第1話からやりたいというのを、話が盛り上がる第3話から始めるようにして。
彼は映画界の興行に踊らされただけで、可愛そうな気もするが、早まってしまったという感は拭えない。
この作品を見ていると、アレンの連れのロバは「もののけ姫」のヤックルに、ウサギは「風の谷のナウシカ」のクロトワに、竜は「千と千尋の神隠し」のハクに見えてくる(ネタバレごめんなさい)。
映像はとてもきれいなのだが、オリジナリティが感じられないのだ。
魔女クモの最後に至っては銀河鉄道999の星野哲朗に見えてくる位監督のセンスを疑いたくなる。
だからといって、見ない方がいいとは思わない。
監督がたぶん伝えたかったのだろう自分を受け入れること。生きることが辛いからといって死に逃げてはいけないこと。自分の影と戦いながら、アレンが変わっていく姿は見て欲しい。ゲド戦記といいながら、大賢人ゲドの存在価値は何だったのか。世界の均衡とこの話がどうつながるのか、そもそも最初に出てきた竜は何だったのか?
突っ込みどころは満載だが、この映画をどう感じるかを、自分の目で見て、感じて欲しい。それで、ただ2時間疲れたという人はごめんなさいと謝るしかない。
テルーの唄 (ゲド戦記 劇中挿入歌)ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)ゲド戦記 3 さいはての島へ (ソフトカバー版)