方言の日本地図

この本は専門的には言語地理学の本だそうだが、普通の人にもわかるよう優しく書かれている。言語地理学とは、簡単に言うとそれぞれのお国言葉はどういうリーツで伝播し、日本地図のどこに分布しているかをまとめたものである。
私は別に言語地理学に興味があるわけでも、言語地理学者になりたいわけではないが、言葉は各地の県民性がわかって面白い。
更に読み進めると、日本の言語は沖縄を除いて大きく2つ分けると富山から静岡にかけての中部山岳地帯が境界線になるという。
わかりやすい例で言うと
「行かない」は東では「イカナイ、イカズ、イカネー」西は「イカン」、「見ない」は東は「ミナイ、ミネー」西は「ミン」になるという。
そう言われると関西弁と九州弁など全く違うようで共通点が多いし、東北弁も関東圏の言葉とどことなく似ている。
更に、方言と気付かずに日常会話で使っている言葉が多いことに驚かされる。
たとえば、「あの店なにげにおいしいよね」
何となくを意味するこの「ナニゲニ」は北海道と四国以外主に関東圏しか使わない言葉らしい。同じようにサリゲニも使わないそうだ。ということはおさかなが飛んだ日の夕香さんのような関西人には通じないということだ。
逆に大阪ではサ行の子音が弱体化しているそうで
「なさる」は「ナハル」「そして」は「ホシテ」「しましょう」「しまひょ」と変わるらしい。同じ大阪でも「来ない」という言葉は地域によって「ケーヘン」だったり「キヤヘン」だったり「キエヘン」だったりするそうだ。
他にも北海道のシバレルは寒いという意味でなく「凍る」という意味であるとか、青森県では津軽と南部では全く方言が違い、買い物しに店に入ったとき津軽「ケヘ」南部は「カル」というとか、長野、静岡では食べ終わった後「いただきました」というとか(私はつい最近までこれは小学校の給食の時間先生がいっていたので標準語かと思っていた)。「雨が降っている」ことを滋賀県では「フッタル」岐阜県では「フットル」というとか、この本なかなか面白くて勉強になる。
方言に興味がある人にはお薦めの本である。