日本最古のまち寝倒れ、建て倒れの奈良県

今回も導入は奈良を舞台にした「鹿政談」という落語の一節から
(トントン トコトン トントコトン。トコトン トントコトン)
今でもそうですが、昔から奈良には鹿が多ございます。あんまりにも多いものですから、しかと数えることができない(-_-;)なんて言ってる場合じゃございやせん。
その昔、鹿は神様の使いと考えられておりまして、大変大切にされておりましたそうな。そんなわけですから、鹿に害を与えたら罰金。ましてや殺しでもしたら死罪だったそうです。
奈良の三条横町に豆腐屋の与作という者がおりまして、こいつは大変親孝行で、困っている人がいたら、自分の着物を売ってでも施すくらいの慈悲深い人でした。
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その与作さん、ある朝、いつものように豆腐を作っていると、外で大きな物音がする。驚いて出てみると、大きな犬が桶の中に頭をつっこんで、ムシャムシャと出来たばかりの「おから」を食べているではないですか。
驚いた与作さん、慌てて追い払おうと、そばにあった薪を投げつけると、見事命中、犬は当たり所が悪かったのか、ばたっと倒れてしまいました。ところが、犬だと思ってそばに寄ってみると、実は鹿だったのです。与作さん慌てて、薬をやるやら人工呼吸するやら、なんやら看病しますが、そのまま鹿は死んでしまいました。
与作さんそこで自首して、縄を掛けられて奉行所に引かれていきます。
その時のお奉行さん根岸肥前守といって、大変お裁きのうまい方でした。
「その方、生まれはどこだ」
「へぇ、奈良の三条横町……」「これこれ、そちの住まいを尋ねておるのではない。生まれたところはどこかと訊いておる」
早い話が、奈良生まれでなければ、鹿に関する規則を知らなかったとしてもやむをえないということにして、与作の命を助けようということでして。
しかし、与作さんは、お奉行様の気持ちを分かりながらも、根が正直なものですから、
「生まれも育ちも奈良でございます」なんて、正直に言ってしまう。
 そこで、奉行さん、考えはれて、
「奉行には死んでいるのは犬にしか見えない、そちはこれを鹿と申すか」
と聞くわけです。ちょうどこの頃、鹿の角が生え替わる時期で、死んだ鹿も角が落ちていたので犬に見えなくもなかったわけです。周囲にいた人々も、与作のことを気の毒に思っていたので、奉行の機転にみな賛同します。ということで、死んだのは鹿ではなく犬ということになり、与作さんは無罪放免! 最後にお奉行さん、豆腐屋の与作さんに一言
「おぬしを切らず(雪花菜)*1にやったぞ、ハ・ハ・ハ。。。」(おあとがよろしいようで)
奈良県といえば公園の鹿鹿せんべい、奈良漬、吉野葛桜井市三輪そうめん、金魚の養殖、若草山の山焼き、東大寺の大仏、仁王門、法隆寺正倉院薬師寺唐招提寺などの国宝級の建物、日本三大人口美林の一つ吉野杉*2高山茶せんと奈良墨、大和郡山市全国金魚すくい選手権、吉野の桜又兵衛桜、日本一の山城といわれた高取城跡、東大寺のお水取りや春日若宮御祭りなどが有名である。
奈良県出身の有名人には古くは聖徳大子蘇我氏物部氏藤原氏ノーベル化学賞福井謙一歴史学者増田四郎、天理教教祖中山みき自民党高市早苗社民党辻元清美、映画監督井筒和幸、作曲家中村泰士、漫画家少年アシベの作者森下裕美、歌手でKinkKidsの堂本剛TOKIOのリーダー城島茂、初代うたのお兄さんビューティフルサンデーの田中星児、モーニング娘。加護亜依、俳優の加藤雅也八嶋智人吹石一恵、十朱幸代、タレントの奈美悦子、南かおり西川のりお明石屋さんま(生まれは和歌山県)、柔道史上初の3大会連続金メダリストの野村忠宏プロ野球では阪神の大エースだった江夏豊、横浜の三浦大輔阪神関本健太郎、巨人の亀井義行大阪桐蔭高校から巨人入りした辻内崇伸らがいる。(全て敬称略)
大和の国、奈良県近畿地方のほぼ中央に位置し、西方を山に囲まれ、海岸に接しない内陸県で、吉野川により南北に二分され、北は丘陵地と奈良盆地,南は大山岳地帯となっている。ご存知古都奈良は日本最古のまちであり、平城京をはじめ、飛鳥時代から県内各地に都や宮がおかれていた。
明治時代にはかつて首都の置かれた地域は「県」ではなく「府」とされたため、奈良でも、京都府大阪府東京府と並ぶ「奈良府」への改称運動が起きこともあるという。
現在奈良県は北西部を中心に大阪のベッドタウン化がすすみ、一部では奈良府民とも呼ばれている。
(つづく)

*1:雪花菜(きらず)とは方言でうの花(おから)のこと。包丁で切る必要がないという意味で「切らず」が転じて「きらず」となった。きらず揚げなどが有名

*2:日本三大美林は青森のヒバ、木曽のヒノキ、秋田のスギをいう。人口美林は奈良の吉野美林(杉)、静岡の天竜美林(杉)、三重の尾鷲美林(ヒノキ)をいう