天下分け目の岐阜県 後編

(前回までのあらすじ)

岐阜県の県民性を調べていくと必ず「輪中根性」という言葉が出てくる。
輪中とは江戸時代、洪水による被害から土地を守るためひとつまたは数箇所の村落がまとまって周囲に堤防を築いた水防共同体のことで、堤防が崩れてもそれが他の村であればまったく無関心であったり、ときに「アララ、お気の毒に、オホホ」とほくそ笑む人もいたことから、総じて親兄弟や一族だけを大切にし、他を顧みることをしない閉鎖的な意識のことをいう。
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水害の多かった濃尾平野では災害時に「他人のことを構っていられない」し、どこかが決壊すれば、ほかの集落は助かったことから、こうした集落内の結束力(またを名を排他的な気風)が生まれたらしい。

「他人の不幸は蜜の味」
他人の不幸を笑っていると自分も不幸になるから気をつけ方がいい。
こんな岐阜県にも養老の滝の孝子伝説という親孝行ないい話が残っている。
養老の滝?その名を聞いて飲み屋を思い浮かべたあなたは相当のんべえだ。
養老の滝とは養老町にある高さ約30m、幅約4mの滝で、巨岩老樹に囲まれた公園の奥深くにある滝のことである。
孝子伝説とは親思いのきこり源丞内(げんじょうない)が山中で山吹色の水をみつけ、年老いた父親の飲ませようと持ち帰ったところそれは長寿に効く酒だったという話である。
やっぱりのんべえの話だって!いや、れっきとした親孝行の話である。
やがてその話は都にも伝わり、奈良の都の元正天皇は、早速この地に行幸し、ご自身も飲浴されたところ病気が全快され、喜んだ帝は年号を養老と改められ、80歳以上の老人に位一階を授け、孝子節婦を表彰し、この地方の人々の税を免除したという。
こんな岐阜県は平成16年度の全国高等学校簿記コンクール大会で優勝するくらい頭のいい県であり、14歳〜19歳までの犯罪検挙率が山梨県に次いで全国の2番目の低さという青少年が健全に育成されている県である。
また、高山などの観光地はほとんどがバリアフリーになっており、車椅子の貸し出しや障害者手帳を持っている人は市営駐車場の使用料金が半額にしてくれるなど障害者に優しい県でもある。
高山市平成の大合併で面積2179平方メートルとなり日本一広い市となった。また農村景観日本一に指定された富田地域もある。
こんな岐阜県人と付き合うには人当たりはいいが、簡単には気を許してくれないから、じっくり期間をかけてつきあっていこう。
腹を割って話さないからといって、彼らには「うまいこといって騙してやろう」という気持ちはない。
むしろ、出来ればよそ者とけんかせず、穏やかに仲良くしたいと思っている。
でも、「岐阜」の位置と漢字ぐらいは覚えて書けるようにしておこう。書けなかったら信長の野望*1で勉強しよう。
ここで魚といったら鯛やヒラメのことではない。大抵鮎のことだから覚えておこう。
大垣地方では「〜けぇ?」という言葉をよく使うが、別に妖怪が現れたわけではないので安心していい。ちなみに「えらいわ」と言われても褒められているわけではない。自分が疲れたという意味である。
日本の真ん中岐阜県
阪神ファンと巨人ファンと中日ファンが混在し、うどんのつゆの濃淡も関ヶ原を境に、滋賀県側が関西風のつゆ、長野県側が関東風のつゆになり、エレベータに乗る時の立つ位置も岐阜を堺に関西は右、関東は左に分かれると聞く。
多くの戦いの場になり征服者が何度も変わったお国柄だけあって、なかなか人を信用しない。先の衆議院選挙でも岐阜1区野田聖子対立候補とした出馬した佐藤ゆかり岐阜市長が握手を拒否したなど、なかなか保守的な側面がある。
さまざまな県民性の本からは「保守的で人づき合いが良くて勤勉」「勤倹貯蓄型の金銭観」「地味で真面目」「郷土意識が薄い」という言葉が聞かれる。
私の親友M君を見ていてあえて付け加えるなら保守的ではあるが、世間を渡る術を心得ているということになる。
天下分け目の岐阜県、その県民性は他人のことは眼中(輪中)にない、人は人というマイペースな県民となる。
人は人、我は我と、自分の心の花を咲かせましょう。
天国にいる(いや、いない(汗))内海師匠の歌が聞こえてくる。
岐阜の県花:れんげ草/県木:イチイ/県鳥:ライチョウ/県魚:鮎/県民歌:岐阜県民の歌

*1:戦国時代を扱ったゲームソフト