なんくるないさーの沖縄

日本の最南端にあり、かつて独立した国、琉球王国があった沖縄県
49の有人島と多数の無人島からなる自然豊かな美しい場所である。
糸満市にあるひめゆりの搭には石野径一郎の小説で紹介した戦争の悲惨な体験、地下壕のでガス弾に散っていった若き乙女達ひめゆり学徒隊が祭られている。
沖縄といえばそのひめゆりの塔の他にも世界遺産首里城玉泉洞、万座毛、エメラルドビーチ、シーサー特別天然記念物ヤンバルクイナイリオモテヤマネコオリオンビールハブ酒さとうきび畑、パイナップル、シークゥワーサー、泡盛、黒糖、揚げ菓子のサーターアンダギー、銘菓ちんすこう、米軍基地、エイサーなどが有名である。
沖縄出身の有名人、歌手は古くはフィンガーファイブ、南沙織、現在ではオレンジレンジ、D51、BEGIN、KiroroSPEED(HIRO、今井恵理子、上原多香子新垣仁絵)、夏川りみDA PUMP安室奈美恵
俳優では仲間由紀恵国仲涼子
タレントの山田優早坂好恵川平慈英羽賀研二、お笑いで仲本工事、ガレッジセール(照屋年之川田広樹)、肥後克広ダチョウ倶楽部)、
プロ野球では元広島、阪神で活躍した阿仁屋宗八、ソフトバンクフォークスの新垣渚、ボクシングの具志堅洋高、渡嘉敷勝男、体操の具志堅幸司、ゴルフの宮里藍諸見里しのぶらがいる。
NHKの連続テレビ小説ちゅらさん国仲涼子演じるえりぃはまだ記憶に新しい。あの番組にはBEGINやガレッジセール、平良とみなど沖縄出身者が多数出ていた。鹿児島育ちであるが沖縄生まれの山田孝之君も古波蔵恵達役で好演していた。
この他にも沖縄を舞台にした作品にはナビィの恋西田尚美村上淳)、海燕ジョーの奇跡(時任三郎藤谷美和子)、メインテーマ(薬師丸ひろ子野村宏伸)、深呼吸の必要谷原章介長澤まさみ)など多数ある。
沖縄県でまず浮かぶのが長寿の県ということである。
平成12年厚生労働省が調べた平均寿命では男性のトップは78.9歳で長野県であったが、女性のトップは86.01歳で沖縄県がトップ。
また、人口10万人当りの100歳以上のお年寄りの数は28.06人で全国ナンバー1。沖縄のおじいちゃん、おばあちゃんは元気である。
なぜ沖縄県民は長寿なのか。
そのひとつが医食同源、すなわち沖縄料理が原因と考えられる。
沖縄料理は昆布と海草を使ったグーブイリチー、豚肉のラフテー、緑黄色野菜をふんだんに使ったゴーヤチャンプル、豆腐を使った沖縄風おからと見事なまでに栄養のバランスが取れている。
ここに沖縄料理を少し紹介したい。

  • ソーキソバ(沖縄そば)・・ソーキとは「豚のあばら肉」いわゆるスペアリブを意味する。そば粉を使用しない小麦粉主原料の麺にソーキや蒲鉾をのせ、鰹だしのスープであっさりした味に仕上がっている。
  • ラフテー・・肉の三枚肉を長時間煮込んだもの。簡単にいえば豚の角煮だが、沖縄のものは皮付きのまま、泡盛をたっぷり使って煮込んでいるのが特徴。
  • ゴーヤチャンプル・・チャンプルとは「ごちゃ混ぜ」を意味し、沖縄を代表する炒め料理。豚肉・ゴーヤ・豆腐・卵を使用した炒め料理。ゴーヤにはビタミンA・C・カリウム・食物繊維がたっぷり含んでおり、ビタミンCの量はレモンの3倍といわれている。
  • 足ティビチ・・豚足・こんぶ・大根をじっくりと長時間煮込んだ料理。豚足の骨のまわりに付いているお肉はゼラチン質で、コラーゲンがたっぷり含まれ、細胞を若返らせ動脈硬化を防ぐ。沖縄県人はこんぶをよく食べるが実は自県ではこんぶは取れない。

このように、沖縄県人はたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んだ食材をゆっくり煮込んだり炒めたりして、日常的に食べてきた。
「食はヌチグスイ(命の薬)」沖縄県人のこうした考え方が沖縄の長寿を支えてきたのである。
もうひとつはテエゲエ(ほどほど)な考え方。
冒頭の「なんくるないさー」(なんとかなるさ)。
宮里藍選手がよく使う言葉である。この言葉に象徴されるように沖縄県人は小さいことにくよくよせず、楽天家で大らか、前向きなプラス思考な人が多いと聞く。
沖縄県は決して恵まれた県ではない。戦争の悲惨な歴史をもっとも身近に体験し、かつ失業率も高い。平成17年12月の完全失業率が8.0%。全国平均が4.4%なのでかなり高い水準にある。
にもかかわらず、NHKの県民意識調査では「この土地が好きですか」という問いに83%が「はい」と答えている。2位の北海道を10ポイント近く離してダントツのトップである。
たとえ失業してもこの土地が好きだというから沖縄県人の郷土意識はすごい。
沖縄県は失業率が全国1位であるが、起業率(新しい会社を起こす割合)も全国1位である。(廃業率もトップだが)沖縄には失敗してももう一度チャレンジできる土壌があるといえる。
沖縄県には門中といって正月には100人も集まる男系の血縁集団を大事にし、また模合(もあい)と呼ばれる金銭相互扶助の習慣が広く浸透している。郷友会という同じ郷里を持つ者の集団もあり、人間関係の密度は他県に比べ非常に濃い。
だから失敗しても誰かが助けてくれる相互扶助の精神があるのかもしれない。
また、仕事以外の余暇の活動時間が5.56時間で全国1位だという。
仕事だけに縛られず、てえげえにのんびり余暇を楽しむ心の余裕が沖縄の長寿の秘密であるといえよう。
沖縄を語る上でもうひとつ重要なのが沖縄の方言である。
方言といっても他の県の言葉はなんとか日本語としてわかるが、沖縄の言葉はまったくもって難しい。
おはようという言葉ひとつとっても「うきてぃー」といい、おはようのおの字も出てこない。これは既に日本語ではなく沖縄語である。
他にもさよならは「ンジチャービラ」ありがとうは「ニフェ〜デ〜ビル」ごめんなさいは「ワッサイビーン」いただきますは「クワッチーサビラ」もはやこれは英語より難しい。
私が沖縄に行って覚えられた言葉は「メンソーレ」(いらっしゃい)だけである。
しかし、文化としてこうした言葉は大切にしたい。
こんな沖縄県人と付き合うには、彼らは意外にシャイなのでこちらから明るく話し掛けよう。その際音楽があれば尚良い。
もともとは陽気で楽天家の話していくうちにきっと心を開いてくれるに違いない。
約束の時間に遅れてきても沖縄タイムなので怒ってはいけない。
沖縄の夜は長いのでゆっくり夜を楽しもう。
別れ際に「アチャー」と言われても、決して勝負を挑んでいるわけではないので、また明日といって別れよう。
泡盛には何十年も寝かせて熟成させた古酒(スースー)があると聞くので、お宅でご馳走になったら「いっぺぇまーさたん」(とてもおいしかったです)とお礼をいおう。
どこまでも続く青い空、美しい海の元で育った彼らは優しさや寛容さを持つとても平和を愛する人たちだから。

沖縄の県花デイゴ/県木:琉球松/県鳥:ノグチゲラ/県魚:タカサゴ/県民歌:沖縄県民の歌
沖縄の健康料理