会社勤めするということ

先週から大学の友人が新しい職場で働いている。
彼は朴訥とした好青年だが、人付き合いは苦手な方だ。
私は彼が具体的に何の仕事をしているかはわからないが、まだ会社に馴染めず、悩んでいる姿は容易に想像がつく。
彼は自由を束縛されるのが嫌いなタイプだ。
口下手で自分を表現するのは苦手だから、上司からも誤解されやすい。
だが、集中力は素晴らしく、時折とんでもない仕事をする。
彼は自分では気づいていないかもしれないが、芸術家タイプの人間である。
私は彼に相田みつを先生が息子一人さんに送った言葉をそのまま贈った。

会社勤めしてもいいよ。
そうすれば生活は安定するな。それはそれでいい。
生活は安定するということは精神の自由は束縛されるということだ。
精神の自由を求めるなら独立独歩でやっていくんだよ。
父さんみたいに貧乏承知でな。どっちでもいいんだよ。
それを選ぶのはおまえさんだ。
ただ、会社に勤めながら、精神の自由がないと不満をいうのはいけない。
独立独歩でやっていながら、金がないとなげくのもいけない。
大事な事は、両方は得られないということさ。

会社勤めとは精神の自由が束縛されること。
相田先生はうまく表現したものだ。
私は彼とは違い創造的仕事は出来ないので今の会社勤めはあっていると思う。
彼は何が自分に合うのかさ迷い求めながら、家族のため、生活のために会社勤めしている。
何が正しいかわからないけれど、両方得られないことだけはよくわかった。