生協の白石さんに会ってきました

生協の白石さん昨日、病院の帰りに平安堂のイベントで生協の白石さんに会った。
生協の白石さんとは東京農工大学生協職員の方で生協への要望を書く「ひとことカード」に対する回答がユーモア溢れる内容であったため、ネット上で話題となり、講談社がそれを書籍化し、現在85万部を超えるベストセラーになっている方である。
ごく普通の一般人であるため、今まで彼の存在は完全にベールに包まれていたが、彼が信州大学のOBであることからこのイベント(トークショー)が聞かれ、彼の素顔を少しだけ垣間見ることができた。
「はじめまして」
濃紺のシャツにノーネクタイ、黒のスーツをお洒落に着こなし、さらさらヘアーをなびかせ、少しはにかんだように出てきた白石さんはファンタジーの世界から飛び出てきたまさに「生協の白石さん」であった。
当然のことながら写真やビデオ撮影は厳禁だったので、彼を言葉でしか表せないが、実年齢よりずっと若く見え、シャ乱Qのまこと君似(妻はウッチャンに似ていると)のかっこいい男であった。
彼は、自分のことを「生協の白石さんは学生が作り出したファンタジー(幻想)なので自分が表に出ることは望まれていないと思っている。いや、話題になりすぎて、出るに出れなくなってしまった」と語っていた。
この素直で謙虚な気持ちが彼の魅力であり、だからこそ東京農工大学生をはじめ多くの学生が彼のプライバシーを守ろうとしているのだと感じた。
白石さんとともに彼を取り囲んでいる学生さんも素晴らしいと感じた。
トークショーは質問形式で行われた。
プロ野球の土橋選手や大相撲の話から奥さんとの出会いや好きな旅行先の話まで実にたくさんの話が聞けたが、ここではあえて深くは触れない。
話を聴いて、ひとつだけ驚いたのは
「牛を置いて」
「ご要望ありがとうございます。本日丁度職場会議が開かれたのですが、結果、牛は置けない、と決議されました。
即決でした。満場一致でした。申し訳ございません。」
この白石さんの名言、「職場会議」実は開かれていないという事実だ。
「会議!開いていませんよ。そんなもの、本当に開くわけないじゃないですか」
少し視線を落とし、はにかみながらも飄々と答える白石さんに私は人間的魅力を感じた。生真面目な人なら「牛を置いて」と本当に職場会議を開くかもしれない。怒りっぽい人なら「牛なんか置けるか」と腹を立てるだろう。普通の人なら無視するはずだ。
しかし、彼はそのどちらでもない。
正解を求める投稿ではないので、気楽に答えたという彼の言葉には、四角張った社会に惑わされない、彼の強さ、心のゆとり、ユーモアが垣間見えた。
彼が大切にされるのは、彼の中にこうした人間的魅力があるためであり、だからこそ今直彼のファンは増えつづけているのだと思う。
学生ばかりでなく、私のような社会人まで虜にする彼の魅力は世間のきまりや常識にとらわれないこの飄々さにあると感じた。
「ストレスはたまらない方です。でも、私は遊ぶために働いています。仕事から帰って奥さんと他愛もない話をするだけで楽しいですよ。」
そう答える彼ははあくまでも謙虚な一般人である。
しかし、ひとことカードに書く生協の白石さんは私に笑いと和みを与えてくれる存在であり、何かに煮詰まったときふっと息を抜かせてくれ、そして心のすき間を埋めてくれるファンタジーである。