忘れえぬ思い 福島県の場合

この前の戦争ではいんがみた。(福島弁でこの前の戦争ではひどい目にあった)
福島県(特に会津若松)でこの前の戦争といえば太平洋戦争のことではない。
無論、日清戦争でも日露戦争でもない。
福島県でこの前の戦争といえば戊辰戦争のことを指す。
そんな福島県の県民性を調べてみた。
福島県といえば、会津磐梯山、白虎隊、会津鶴ガ城、野口英世赤べこ阿賀野川猪苗代湖五色沼喜多方ラーメン会津米、ソースカツ丼、りんごのふじ、馬刺しなどたくさんのものが浮かぶ。
5年間新潟で暮らし、福島にはよく遊びに行った私にとっては思い出の地である。
福島県出身の有名人にはおふくろさんや千曲川ブルースなどを作曲した猪俣公章さん、ウルトラマンを作った映画監督円谷英二さん、作家の横光利一さん、ちょっと古いが歌手の春日八郎さん、つのだひろさん、キャンディーズ藤村美樹さん、俳優では西田敏行さん、佐藤B作さん、伊東美咲さん、お笑いの加藤茶さん、プロ野球界では中畑清さん、江川卓さんなど個性的な人が多い。

福島県は大きく3つに分かれる。
西部の奥羽山脈阿武隈山脈に囲まれた喜多方や会津若松がある「会津
中央の平坦部、郡山や福島などがある「中通り
太平洋側のいわき市などがある「浜通り」それぞれ県民性が若干違うという。
浜通りは港町や常磐炭田があったことから外部から流入も多く比較的開放的、中通りは政治、経済の中心で、柔軟性があり新しいもの好き、会津は一本気で頑固な気質を持つらしい。
不思議なことに、同じ中通りでも福島と郡山はライバル関係にあり、福島市民は
郡山に行くぐらいなら仙台に行った方がいいがんね
というそうだ。全体的に福島県民は仙台市が好きなようである。
また、東北県ということを嫌うらしく、どちらかというと自県を関東圏と思っている。

福島を語る上で避けて通れないのが戊辰戦争と白虎隊の悲劇である。
戊辰戦争とは1868年(戊辰)1月から1869年5月まで行われた、明治維新後の新政権が、旧幕府勢力や諸藩軍を平定していく一連の戦争をいう。
幕府に忠誠を誓った会津藩はこの戦いで薩長連合軍に敗れ、15〜17才の少年兵で構成された白虎隊が真っ赤に燃え上がる鶴ケ城を見て帰る事もかなわないと飯盛山で全員自決した話は有名である。
会津では代々「この前の戦争」とは戊辰戦争と教えられ、120年以上経った今でもそのときの怨み*1を持つ人が多い。
勝ち組は水に流し、負け組は石に刻む。
中国や韓国がなぜ未だ反日感情を持っているのかは彼らに聞いた方がよくわかる。
しかし、いつまでも戦後を引きずってはいけない。
日本がアジアの中で受け入れてもらうためにも、この問題(なぜ福島県民は山口県民を嫌うのか)を深く追求する必要がある。
そもそも戊辰戦争会津を攻めたのは薩摩、長州、土佐(高知県)、佐土原(宮崎)、大村(長崎)、大垣(岐阜)の6県の連合軍である。
また、その陣頭指揮をとったのは、土佐藩板垣退助薩摩藩伊地知正治
会津城が落城して白虎隊が自決したのは、この土佐藩薩摩藩が先陣争いをして、予想外のスピードで会津城まで辿り着いてしまったので、会津の主力部隊が戻ってこられなかったせいといわれている。
歴史上の事実だけ見れば長州(山口)だけを恨むのは誤解である。
私が推測するにやたら大きな口を叩いてしまう山口の県民性が、会津の人からはあいつらのせいだと思わせたと思う。まさに口は災いのもとである。
しかし、そんな両県にも和解の兆しが見えている。
1997年市民劇場で「会津の娘と萩の青年が恋に落ち、周囲の反対を乗り越えて結ばれる」内容の早春譜という劇が萩市長招待のもと会津若松市で行われた。
会津若松の市民劇場もなかなか粋なことをやる。
やはり心のわだかまりをほぐすには文化や音楽といった心の触れ合いが良い。
それと山口県も過去の事実を認めることは大切だが、歴史の事実を正しく主張し、誤解を解く努力をした方が良い。
さわらぬ神に祟りなしの精神ではいつまで経っても和解できない。
全体的に福島県は東北の粘り強さと忍耐強さ、関東のきっぷのよさと開放的気質両方を持った県民性を持つ。血液型で言うとAB型のような県民気質を持つ個性的な人たちだ。
野口英世のような頑張り屋から陽気で楽しい西田敏行、絶好調の中畑清みたいな人がいたと思えば伊東美咲のような美人が生まれる。実に不思議な県である。
一般に男性は正義感が強く、女性はねばり強いそうだ。
余談だが、性に関しては意外に早熟で男女とも早婚の傾向にあり、とくに女性は全国一結婚年齢が若い県だという。
そんな福島県民と付き合うには彼らを都会人として扱い、決して福島弁を笑わず、一緒になって関西の人はお調子者ですねと悪口をいおう。
間違っても年配の人に山口はいいところですね、なんて言ってはいけない
会津では「会津磐梯山は、宝の山よ〜♪」と民謡を歌いながら、維新の悲しい物語に一緒に涙してあげるのが良い。
彼らは忠誠心が熱く、今なお熱い武士道精神を持った人たちなのだから。
福島県県花:石楠花(ネモトシャクナゲ)/県木:欅(ケヤキ)/県鳥:キビタキ

福島弁の翻訳ページ

福島県出身の有名人
福島県の県民性について

*1:会津藩士の遺体が1年間埋葬されなかったことや白虎隊の悲劇