楽あれば苦あり薬売りの富山県

近県ということもあり滑川のほたるいかミュージアムを含め、富山には何回か行った事がある。4月にそこで「ほたるいか祭り」がある。
地元の皆さんによるホタルイカ音頭やストリートライブ、ホタルイカ救いやホタルイカ目玉飛ばしコンテストなんていうのもあって結構面白い。
私が富山県といって思い浮かぶのが、このホタルイカ鱒寿司、チューリップ、日本三大霊山のひとつ立山、トロッコ電車、越中富山の薬売りなどである。
人気blogランキングへ
富山県出身の有名人には漫画家の藤子・F・不二雄さん、ワハハ本舗柴田理恵さん、俳優の西村雅彦さん、野際陽子さん、風吹じゅんさん、室井滋さん、角川書店を創立した角川源義さん、そして息子の角川春樹さん、娘で男たちの大和を書いた作家辺見じゅんさん、サッカー選手の柳沢敦さんなどがいる。

富山の由来は「山の外にある地」外山からという説があるように、東に北アルプス、南に飛騨、西に加越と3方を山に囲まれ、その中に富山湾を望む富山平野が広がる自然豊かな土地である。

富山といってまず浮かぶのは越中富山の薬売りである。
薬を先に家に置いておいて、後日、使った分だけお金を回収する。
私の業界ではそれを配置家庭薬と読んでいる。
今は見かけないけれど、祖母が生きていた頃、我家にも着物にわらじを履いた薬売りが薬を持ってきた。薬売りというよりお遍路さんみたいだと思っていたのを今でも覚えている。

富山県には日本一がたくさんある。
まず貯蓄率が日本一である(数値は徹底比較県民性おもしろ辞典より)
1世帯当りの平均収入は月81万4226円で全国1位。
可処分所得における貯蓄率は31.7%と全国1位。
所得に占める消費の割合は58.7%とこれは全国最下位。
日本一貯蓄好きでお金をためても使わない県民である。
富山県は大家族が多いことや、共働きが多いことなどから1世帯当りの平均収入が多いことは肯けるが、それを使わずに、もしものためにとっておく。
「石橋を叩い渡る」と云われる富山県民の堅実さがよくわかる。
また、貯蓄の一方で教育にはとても金をかける。
進学率が高く、大学進学率は平成13年度49.9%と全国1位になった。
また人口当りの図書館数と蔵書数、読書にかける時間も日本一である。
富山県の行ったストレス調査によれば、落ち込んだとき思い浮かべる言葉は「努力」「楽あれば苦あり」「継続は力なり」だそうで、我慢強く、せっせと働く富山県の勤勉さがよく出ている。
そして、持ち家率も日本一である。
富山県土木部のホームページによれば、持ち家率が80.4%と、なんと実に8割以上の人が自分の家を持っている。
他にも、1住宅当りの延べ床面積151.7㎡、居住室数7.75、居住室の畳数47.99、いずれも全国1位である。また、年齢別持ち家率を見ても、20代の持ち家率は全国平均12.8%に対し、富山県25.6%と実に2倍あり、若い世代の持ち家率も高い。
統計でみると富山県は日本一住みやすい県である。

この理由は地価が安く建築コストが安いことが上げられるが、独自の風習(次男等が結婚した時家を建てて分家する)や、何より富山に住みたい若い人が多いためだと思われる。
いつか自分の城を思ってみたい人にとっては夢のような県である。
全国47都道府県住みよさランキングはこちら

もうひとつ富山を語る上で忘れてはならないのが信仰心が厚いということ。
富山県は石川と並んで浄土真宗王国である。
浄土真宗とは親鸞さまの教えで往生浄土の真実の宗旨という意味で、阿弥陀仏様を願うちからによって、いかなる者も救われるという仏教の宗派である。
浄土真宗の教えについては相田みつを先生が「いちずに一本道いちずに一ツ事」にわかりやすく解説してくれている。

他力門というのは、自分の力ではどうにもならないから阿弥陀さんに一切任せて、ただ一筋に念仏を称えていく。
それも自分が称えるのではなく、阿弥陀さんの力で称えさせていただくというもの。そこには自分というものは一切ない、という教えです。

富山県は消費しない県と説明したが、こと仏壇仏具についてはこの言葉が当てはまらない。仏壇の豪華絢爛さは石川と並び、霊柩車も超豪華である。
なぜ富山県人は信仰が厚いのか。それは歴史的背景からも考察できる。
その昔、富山県越中4郡(加砺波・射水・婦負・新川)は加賀藩と富山藩の両方から搾取され、かつこの地域は水害や冷害も多かった。
隣の石川は加賀100万石に対し、富山藩はたった10万石。
貧しい中で心の拠り所を宗教に頼ったのではないだろうか。

そんな真面目で勤勉な富山県民も怒らすと怖い。
1918(大正7)年,米価の値上がりが原因でおこった全国的な民衆の暴動、米騒動の発祥の地は富山であり、他にも電気争議、イタイイタイ病公害訴訟もみな富山で起こっている。
立ち上がるときは立ち上がる強い意志を持った県民である。
合理的、実力主義的なところもあり、北陸の大阪人といわれるようにお金にシビアなところもあるそうだ。
こんな富山県人と付き合うには、あまり冗談は通じないのでお世辞やおべっかはいわず、真摯で合理的な付き合い方をした方が良さそうだ。
家に招かれたらまず「か〜か、そくさいですけ」(カーちゃん、お元気ですかの意)と声をかけ、仏間の広さや仏壇の豪華さ。欄間の透かし彫りの感想をいうのが良いと思う。
富山県県花:チューリップ/県木:立山杉/県鳥:ライチョウ/県獣:日本カモシカ/県魚:ブリ