あらしのよるにの感想

sakurasaku20052006-01-15

日曜日の朝、一人であらしのよるにを見に行った。
きむらゆういちさんの絵本を読んでどうしても見たくなったからだ。
この時間しか上映しないこともあって館内はほぼ満席。
やはり子供連れの家族が多かった。
いのちをかけてもいいという友達に出会えた。
アニメで感動するのは久しぶりである。
それだけ良い作品であった。
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児童文学としては驚異的な250万部も売れた木村裕一さんの絵本「あらしのよるに」シリーズを「タッチ」、「銀河鉄道の夜」などで有名な杉井ギサブロー監督が映画化。とてもほのぼのとした感動できる作品にしあがっている。
私は絵本を読んでいたのでストーリーは知っていたが、絵本を読んでいなくても、大人も子供も楽しめる作品だと思う。

オオカミとヤギという、
本来であれば<喰う者>と<喰われる者>との間に生まれた奇跡のようなピュアな友情と葛藤。
そして二匹の友情を決して認めない社会との対立。
この物語は自分の人生や実社会での出来事と重ね合わせて読むことの出来る奥の深さが、子供のみならず大人をもひきつける魅力となっている。

原作の魅力をこう語るようにこの映画はいろんなことを教えてくれる。
「狼は私たちを食べていかなければいきていけないのです。」
長老がメイに言った言葉が、食物連鎖という自然界の法則という厳しい現実を思い起こさせる。
いのちをかけてもいいという友達に出会えた。
吹雪の中、洞穴でメイがカブにいうシーンなど自然と頬に冷たい雫が伝わってくる。
小さな子供たちにはどう映っているかわからないけれど、大人の私の胸に響く作品であった。

また、声優陣に俳優を使っているのもこの映画の特徴である。
主役のカブとメイを中村獅童成宮寛貴
やぎの長老(坂東英二)、仲間のタブ(林屋正蔵)、祖母(市村悦子)、やぎのおばさん(KABAちゃん)。
狼のドンギロ(竹内力)、ガブの母(早見優)。
アニメでなくひとつの邦画が出来そうなキャストである。
aikoのスターもこの映画にあっていてとてもよかった。
男たちの大和で「打てぇー」と叫んでいた中村獅童は別人のようだった。
彼も狼のように本能的に怖い顔と優しい顔の2つ持つのだろうか。

ひとつ気になったのはメイは雄なのだろうか、雌なのだろうか。
山羊の女の子の目を見ていると雄と思われるのだが、雌ととれないこともない。原作でもどちらともとれる感じだ。
種を超えた友情、それとも愛情を扱った作品か評価が別れる所である。

思いがけずに良い作品に出会い、童心に戻ってしまう。そんな香りがする映画だった。家族みんなでみて欲しい作品である。