城戸真亜子展のハーモ美術館

絵を描くことは呼吸することに似ているんです
彼女は作品紹介の中で絵についてこう語っている。
諏訪に来た目的のひとつが城戸真亜子展を見ることである。
私たちは開館と同時にハーモ美術館に入った。
源氏物語から樹々、そして水紋へ」油彩画を中心とした彼女の絵画は感性の世界を中心に描かれていて、どこか男性的な力強さを感じる。
私が特に印象に残ったのは源氏物語の葵という作品である。
「今に息づく源氏物語を表現しました」
「夥しい平安の色彩が脳みその中で海のように広がり、渦巻くのを感じました」
彼女ならではの感性だ。
葵の上の顔が現代人そのもので、六条御息所の怨念が怖いくらい印象に残った。
源氏物語で葵の上は六条御息所から些細なこと(賀茂祭で見物場所をめぐって車争いを起こし、葵の上が勝ってしまう)から怨みをかい死んでしまう。
その情景が浮かび上がってくる。
私はその絵に強く惹かれた。
彼女は美大出身ということは知っていたが、芸能活動後もずっと絵を描いていたことは知らなかった。
何事もその道を継続して続けていれば、人に印象に残す作品ができるようになるんだなと感心した。