春の雪

sakurasaku20052005-11-02

三島由紀夫原作、行定勲監督の「春の雪」を見た。
私が楽しみにしていた映画のひとつである。
物語は大正時代の華族の社会、妻夫木聡扮する伯爵家の嫡男松枝清顕と竹内結子扮する伯爵家の令嬢綾倉聡子のすれ違いの恋、政略結婚、そして二人の禁断の愛を描いている。

瀬をはやみ 岩にせかかる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ

物語は二人の幼少時代、聡子と清顕が百人一首をして遊ぶ所からはじまる。

  • 「私がもしいなくなってしまったら清様はどうなさりますか」

清顕は聡子への気持ちに気づきながら、その思いを受け止めることができない。
そして聡子は没落した綾倉家のため宮家との政略結婚を受け入れる。

  • 「今やっと俺はほんとうに欲しているものがわかったんだ」

手に入らなくなって初めて大切な想いに気づく清顕。二人は許されざる愛の道に進んでいく。

寺院の前、親友の本多に抱かれながら、春に舞う雪を見る清顕。

私は中ではここがこの映画のラストシーンだ。

  • 「どんなものに生まれ変わっても私は必ずあなたを見つけ出します」

聡子の台詞が思い起こされる最後の2匹の蝶が舞うシーン。
離れ離れになった二人がまたいつか一緒になるという監督の演出だと思う。
私が監督ならこのシーンから映画を始めると勝手に映画監督になる私。
私は二人の役者が好きなので、映画自体嫌いではないが、清顕と聡子のベットシーンには残念だ。竹内結子があまりにも肌の露出がなさすぎて、二人の情愛を感じられなかった。
この点は妻も同意見だった。
中村獅童との結婚、妊娠報道後であったので、役に入りきれていなかったのかもしれない。
妻夫木君も原作のイメージには合うが、演技の迫力の点でこの作品ではイマイチだ。
私の映画(勝手に作ってるだけ)では郷ひろみとと松嶋菜々子が演じている。
逆に脇役である親友本多繁邦(高岡蒼佑)や聡子の侍女蓼科(大楠道代)がとても印象に残る。映画自体もとても美しい映像で大正時代の華やかさと大衆の匂いが感じる作品だ。
春の雪。少し期待はずれの部分もあったが、私の中では好きな映画のひとつだ。
ちなみに宇多田ヒカルのBe My Lastと春の雪は私の中では結びつかなかったが、宇多田ヒカルは好きなのでよしとしておこう。