今夜が締め切り。課題エッセイ再び。

ただいま。感想を読んだら、頭にぱっと、文章が浮かんだ。
今夜最終稿をアップする。
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課題テーマ「私を変えた出来事」エッセイ第5稿

絵本なんて子供が読むもの。そう思っていた。
私を変えたのは1冊の絵本。マイケル・ローゼンの『悲しい本』。
大切な人を失った男の物語。絵本セラピストが読んでくれた。絵本セラピストとは、その時々の気持ちや感情に合わせて大人向けに絵本を読む人をいう。この絵本で、なぜか頬からボロボロ涙がこぼれた。ふつう、いい大人は簡単に衝撃を受けたり、泣いたりはしない。私の心にどんな変化があったのだろう。


 絵本にいい思い出はない。幼い頃母はよく絵本を読んでくれた。寂しかったのだろう。一緒に忙しくて家にいない父の悪口を言った。私は黙って聞く。本当は嫌だった。父への言葉は自分が否定されているように感じたから。ただ母に愛されるためいい子を演じる必要があった。


 『悲しい本』の中で男は、どうしようもない悲しみを詩に書くことで自分の感情に向き合っていく。絵本セラピストは、ただ読むだけでなく、そこから質問しどう感じたかを紙にかかせる。私も悲しみを書いた。悲しみはいたるところにあった。書いていくうちに気づいた。悲しみは愛の表れ。本当は母のことが好きだったんだと。そうしたら涙が溢れた。止まらなかった。そして、私は変わった。自分を愛せるようになった。


 絵本には不思議な力がある。解釈には正解がない。文字も少ない。だから、行間を読む。絵を見る。音を聞く。そこには大人だからこそ理解できる感覚がある。そもそも絵本は子供たちに良い大人になってほしいという願いがこめられている。だから、たとえ幼児向けの絵本であっても、聞き方によって大人も子供と同じように、泣いたり、笑ったり、愛情を感じることができる。
 この体験を多くの人に伝えたい。伝えよう。そう思った私は、東京まで行って絵本セラピーを学んだ。そして、いま、大人のために絵本を読んでいる。そう、絵本セラピストとして第1歩を踏み出したのだ。