源氏物語の世界 後編

自分の将来を決めたり、幸運を呼ぶ何かとの出会いは、偶然に支配されるいわば「縁」だと僕は思っている。
美術館に行ったのはそんな偶然を探していたのかもしれない。
3連休の初日、信州は天国の階段が見えるくらい突き抜けた青空が広がっていた。
昨夜は接待、翌朝は会社。横浜後のフォローはなかなか落ち着かない(汗。僕はあきらめの悪いオトコだ。多分年内にもう一度横浜にいくだろう。
実は僕のブログは自分自身への想いを忘れないために書いている・・・(汗)



さて、話を昨日の続きに戻そう。

源氏物語千年紀委員会の「あなたはどの女性に共感する」の人気投票で一番だったのは意外にも「桐壺更衣」であった。
源氏の母君。身分は低かったが、美しく魅力的な女性だったため桐壺帝から寵愛される。だが、逆にそのことで女房からいじめにあい、病死してしまう不遇のひとだ。
瀬戸家寂聴さんがおっしゃっていたように「こういう命も愛もはかないものだという人生の翳りをくまなく書きこんでいる」ところが源氏物語の魅力だと思う。
ちなみに二位は藤壺の君、3位は葵の上。源氏が最も愛した「紫の上」がいないのが意外だった。


昨日の続き僕はというと・・・空蝉だ。
源氏が十代の頃、もっとも影響を受けた女性の一人。空蝉の話をかいつまんで書くとこんな感じだ。

源氏17歳のとき、伊予の国(今の愛媛県)の地方官伊予の介の後妻空蝉に心惹かれる。「会いたい」と何度も文を出すが、彼女は意に避けて会おうとしない。そこで源氏は空蝉の弟小君の手引きで屋敷に忍び込み、逢引しようとするが、彼女は上着1枚を残して、立ち去ってしまった。

源氏がその衣をもって帰り詠んだ句が
空蝉の 身を変へてける 木の元に なほ人柄の 懐かしきかな
(蝉の抜け殻のように衣だけを残して木の下であなたはいってしまわれた。でもなおあなたをお慕いして、懐かしく思っております。)

教養はある方だったが、身分は高くなく、年齢もけっこういっていて、ルックスもさほどよかったわけではないと聞く。
だが、最後まで源氏の愛を拒んだ。その「慎み深さ」と若い女性にない落ち着いた「上品さ」に惹かれる。


うん?気がつけば秋の夜にこんな長文書いてしまった