鉄道員(ぽっぽや)

sakurasaku20052008-02-07

昨日と違って全然違う話を書きたい。浅田次郎さんの「鉄道員」を読んだ。
浅田次郎さんは泣かせの帝王だ。リリー・フランキーさんもそうだったが、僕はこういう作家を「ずるい作家」と呼んでいる。情景描写が上手くついつい主人公のつもりになって泣きたくなってしまうから(――;)(笑)
実は表題作「鉄道員」をはじめ8編の短編のうち約半分は泣き小説ではなくホラーだ。
だって亡くなった人が堂々と普通の人のように出てくるのだから・・。
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なのに、その幽霊にまで感情移入してしまって、泣ける作品にしてしまうところが浅田次郎さんの凄いところであり、恐ろしいところだ(汗)

娘に一番辛かったことは何かと聞かれて乙松は自分の娘の死を語らなかった。それは私事だから。佐藤乙松にとって一番辛かったことは娘の死で、二番目は女房の死に違いない。

こんな父娘の会話を読んでいると泣けてくる。実はその娘は親孝行のために出てきた幽霊と聞いてもホラーと思えない。こういうところが「ずるい」(笑)
僕は彼の作品が泣けるのはその物語に温かさを持っているせいだと思っている。だから好きだ(^^♪


実は僕はこの短編集の中で一番泣けたのは、「角筈にて」という作品だ。
多分僕ら中年男性はこの作品に「やられる」と思う。なぜだろう。そういう歳になったということか。
主人公貫井恭一はバリバリの商社マン。だけどプロジェクトの失敗の責任を一人で取らされて地球の裏側リオネネジャネイロに飛ばされる。彼と部下のやりとりは読んでいる内に自然涙が出た。

「今日内示が出たんです。私、9月の異動で貫井さんの後任になります」
「後任(驚)!それはおめでとう。営業部長は花形だぞ。よかったな。がんばれよ。」
「嫌です。こんなことってありますか。貫井さんを飛ばせば、あとは何事もなかったっていうんですか(怒)」
「おいおい、そばに誰もいないんだろうな」
「いたって構いませんよ。ねぇ、何とか言ってくださいよ。貫井さん。こんなばかな話ないでしょう。岡田は企画室長で、富山は秘書課長だっていうんですよ。貫井さんだけがとばされて、プロジェクトはご栄転ですか。みんなここにいます。みんな、泣いていますよ。貫井さん、なんとかいってくださいよ。貫井さん・・・」

泣いた。移動中の高速バスで・・・(汗)なぜだろう。涙が止まらなかった。昔を思い出したせいだろうか。


泣いてストレス発散したいとき、迷わずあなたもこの本を手にしてみよう。きっと涙が乾いたココロを癒してくれるから。
ちなみに「ラブレター」って作品もすごく良かった。女性はこっちの作品の方がウルウルくるはずだ(^^♪