村上春樹さんのカンガルー日和

雨上がりのあの柔らかい日差しが僕は好きだ。
信州は雪が舞った。真っ赤に焼けた欅の葉を見ながら、湿ったアスファルトの上を歩くのは気持ちいい。こういう素敵な自然を見ているとあの小説を思い出す。
「柵の中には四匹のカンガルーがいた。」
20年以上前に書いた村上春樹さんの短編集。表題となったカンガルー日和をはじめ18編の短編小説が収められている。

カンガルー日和

カンガルー日和

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自らスケッチと評したように村上さんらしいメルヘンチックな軽妙なタッチで描かれている。ふわふわとした雲のようでつかみどころがないけれど、読んだあと、雲の上で寝そべっているような・・・そんな爽快感がある。
思わず、すーと眠りたくなる本だ(笑)

女の子というのは実にいろいろな可能性を思うつくものだと僕は感心する。
僕はキリンのお産だって、鯨が泳いでいるところだって見たことない。なぜそれなのにカンガルーの赤ちゃんだけがいま問題になるのだろう。
「カンガルーの赤ちゃんだからよ」彼女は言った。

彼の女性に対する洞察力は・・・・素敵だ(笑)。
僕にとってカンガルーは須坂市動物園のハッチ君一家だが、須坂市動物園でもこんなカップルがいても不思議でない。もっと言うとうちの彼女が何となくそういいそうだ・・・(汗)女性とは摩訶不思議な存在である。
彼の文章は限りなく想像力を膨らませてくれて、楽しい。
彼の女性観を表すには「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子と出会うことについて」が面白い。原宿の裏通りですれ違う男女を描いたストリーだ。

4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子とすれ違う。
大して綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。(中略)歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートル先から僕にはちゃんとわかっていた。彼女は僕にとっての100%の女の子なのだ。彼女の姿を目にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中は砂漠みたいにカラカラに乾いてしまう。

ハハハ、僕には村上さんの感性を表現するのは難しい(汗)頭の中でわたせこうぞうさんのようなちょっと洒落た風景が思い浮かぶ。
ちょっと頭が疲れたと感じた時に、僕が一等お薦めの作品だ。
あなたも世界のムラカミを感じて欲しい。