涙の理由

先週ショックなことがあったといって、内容は書かなかった。
思いはためてはいけないと書きながら、自分のことはそのまま書けないなんて・・・。
なぜ書けなかったかというと感情に流されて弱音を吐いてはいけない。そう思ったからだ。飲めない酒で忘れようとも思ったが、何の解決にもならなかった。
そして思い出した。2年前のことを。逃げたって決してラクにはならないことを。
このブログを書こうと思った最初の頃の思いも・・
今日は自分の思いをつづりたい。不快に思う方は、このまま読み飛ばして欲しい。
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「T副部長を懲戒処分とする。君たちは責任ある仕事をしている。それを十分承知した上で今後ミスのないよう、もう一度自分の仕事を点検してくれたまえ。」
まるで、スローモーションのビデオを見ているようだった。
私の上司に処分が下った。理由は今回のシステムトラブルの責任を取らされた形だ。
自分のこと以上にショックだった。
「なぜ、あんないい人が、まじめにやっている人が。なんで・・」
元々無理を承知で動かした。それは強引に動かせとトップがいったからだろう。悪いことはいつも弱き立場の現場に押し付けられる。いい人やまじめにやっている人ばかり損をする。そんな思いが渦巻き、珍しく、憤りを感じた。
彼は多分、この春には私の上司ではいられなくなるだろう。


彼は技術屋あがりだが、とても優しい人だ。
天皇陛下のような優しい顔立ちで、いつもニッコリ笑いながら、冷静に、鋭い指摘をしてくれる。ああしろ、こうしろと指図ばかりする人が多い中で、部下を見守って仕事を進めることが出来る数少ない貴重な管理職だった。
今回の件も内部会議では「みんなが萎縮することはないよ。僕のことは気にしなくていい。仕方ないから。」と笑って受け流していた。
その笑顔を見ていたら、涙が出そうになった。


尊敬する上司である。
2年前、行くあてもない私を拾ってくれた。恩義もある。
私がこのところずっと夜遅くまで頑張っていたのは「彼の力になりたい」その思いだけであった。こう見えて私は義理堅い。わが社は経営が厳しいから残業代なんてものはつかない。おまけに合併して支社扱いだから給料も安い。でも、仕事をするのはお金のためばかりではない。
ときに「ある人をオトコにさせたい」とか、そんな思いで仕事をする人もいるのだ。

でも、結局、力にはなれなかった。君平さんの言葉が蘇る。
それがサラリーマン社会といえばそれまでだが、そんなことのために命まで失った人もいるのだと考えると・・書いているだけで、また涙が出る。明日は晴れるだろうか。

自分の経験はどんなに小さくとも
百万の他人の経験より値打ちのある財産である
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