心に残る東京タワー

福岡県を紹介する前に紹介したい本がある。
「東京タワー」この本は会社の先輩の女性が「いい本だから読みなさい」といって手渡されたのが読むきっかけとなった。
それまで、この本の存在は知っていたが、少しミーハーの感じがして読んでいなかった。
私にとって、著者のリリー・フランキーさんは時折、下ネタを言うエロかっこいいおじさんでしかなかった。
だいたい日本人なのに名前がリリー・フランキーなんてふざけている。
それが私の正直な感想であった。
しかし、この本には。正直参った。
泣けるとさんざん聞かされていたが、この物語は泣けるという次元を超えた物語であった。
自叙伝だからリアリティがあるのは当たり前だが、まさに人間「リリー・フランキー」そのものがこの作品の中にあった。
生きざまというより魂をぶつけられた強烈な作品であった。
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私は不覚にも通勤途中のバスの中でも読んでしまったが、「泣き顔を見られたくなかったら電車で読むのは危険という」口コミの意味がよくわかる。
本当は家でじっくり読んで欲しい本である。
作品の中で心に刻まれた言葉はいくつもあるが、敢えて感想に書くことはやめておく。
その人の歩んできた人生によってこの本にはいろんな感じ方はあるはずだから。
だが、その言葉ひとつひとつには、悲しみ、虚しさ、喜び、愛情、普通の人だったら必ず感じるはずの気持ちがこめられている。
オカンと僕と時々、オトン
舞台は福岡の筑豊、小倉、博多そして大分、東京と移り変わっていく。
関西以西では両親のことをオトンとオカンというが、このオカンという言葉、私はなにか親しみと愛情が感じられて好きである。
「はい、なすびの味噌汁よ。」
何でもない台詞が何故だかわからないけれど胸にぐっとくる。そんな作品である。


自分にもこんなオカンがいたらなぁと感じる。
この物語はあくまでもリリーさんとオカン、そして時々オトンの人生であり、彼以外の何者でないけれども、なぜか共感し、ぼくと一緒になって悔しさや切なさを感じてしまう。
だからみんな泣ける作品だと言うのだろう。
私的には単なる流行の1冊として読み始めてみた本であったが、いつしか一度手にとって読んで欲しい本に変わっていた。