有名なのはみかんばかりでない和歌山県 後編

(前回のあらすじ)

和歌山県紀伊半島北西部に位置し、徳川御三家紀州家の城下町がある和歌山市をはじめ、海岸部は黒潮のもたらす温暖な気候と豊かな緑に恵まれ、背後に神話の時代から神々が鎮座すると敬われてた紀伊山地がある、自然と歴史文化に恵まれた地域である。
大きく紀北南紀にわかれ、その県民性も異なっている。
紀北は有吉佐和子の小説『紀ノ川』に出てくる女性のように、人間関係を自分のペースの中で巻き込んでいく、大阪の商売人気質をもっている。京阪神の影響を強く受け、上方商人的な“商業型”の気風があるのが特徴だ。
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これに対し、南紀は独創的で反骨に富み、視野を外に向ける“海外志向型“で、陽気で正直、カラッとした性格で感情表現がはっきりしているという。
全体的に思い込んだら最後までやる抜くという一途なところがあって、成功者も少なくない。まず紀北出身で有名なのが、松下幸之助である。
「成功とは、成功するまでやめないことだ」
「ものをつくる前に人をつくれ」
「感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく。」
経営の神様と言われ、今尚、多くの経営者の指標となっている彼は和歌山県和佐村(現和歌山市)生まれである。
関西弁を喋る彼のことを大阪人と思っている人もいるかもしれないが、彼は列記とした和歌山県人である。裏を返せば、紀北はそれだけ大阪化が進んでいる土地とも言える。日本のお笑い界のビック3の一人、明石屋さんまさんも古座町(現串本町)出身で紀北の人である。
私は彼が奈良公園の鹿の話ばかりしていたので、奈良県人かと思っていたが彼も和歌山県人であった。(彼は育ちは奈良県
南紀には、紀伊国屋文左衛門に代表されるように一発当ててやろうという勝負心や冒険心があり、反骨精神旺盛な人が多いという。
田辺、新宮など南部は粗野で言葉づかいもやや乱暴だが、素朴でつき合いやすい人が多いと聞く。
南方熊楠(みなかたくまくす)のようにイギリスに渡って科学雑誌『Nature』に「東洋の星座」、「ミツバチとジガバチに関する東洋の見解」、「拇印考」などの論文を投稿し世界の注目を浴びた人もいるように、土地を離れた海外に移住する人も多いと聞く。
いずれも和歌山県人は良く働き倹約してせっせと貯金に励む性格だといい、故に和歌山県は人口一人あたりの郵便貯金残高が日本一、また、預金残高も全国上位となっている。
和歌山県はご存知の通り「一目百万、香り十里」といわれ、日本一の規模を誇る梅林が有名である。
南部川村南高梅をはじめ、梅の生産量は全国1位である。
他にも温(うん)州ミカン、柿、ハッサクの生産量が全国1位(平成16年度)である。
和食のルーツにもなっており、金山寺味噌、醤油、真妻わさび、かつお節、高野豆腐、これらはすべて和歌山県が発祥の地である。
箕島、地辨和歌山、近大付属など高校野球も強く、東尾修藤田平吉井理人尾花高夫正田耕三小久保裕紀西口文也濱中おさむなど過去に多数のプロ野球選手を輩出している県でもある。
こんな和歌山県人と付き合うには、みかんと梅の産地だからまずこれを褒めよてみよう。有田のみかんは「ありだ」であって「ありた」ではない。
ありたというと佐賀の有田焼のことになってしまいから気をつけよう。
和歌山県はメインルートからはずれ、産業もぱっとしない♪近畿ブロックに入っているけれど孤立したおまけみたいな存在だ」
近畿のおまけという歌が実在するが、この話題に触れるのはやめておこう。
徳川御三家の一角を担っていた彼らにもプライドがある。
紀北で「あ。それって大阪っぽい」というのは褒め言葉だそうだから大いに使おう。奈良県とは大仏があるかないかの違いしかないと思っているから無闇に褒めるのはやめよう。
「川向こう」といったら紀ノ川を指し、むこうとこっちでは県民性が違うのでその辺も認識しておこう。
我々、信州人には和歌山ってミカン畑ばかりのイメージがあるが、白浜、勝浦をはじめ美しい海岸線と多くの山々からなるまさに「木の国」、自然豊かな山の国、それが和歌山県である。
そこに住む人たちは基本的にはのんびりとしたお人よしだが、いざとなったら物怖じしない「やるとなったら思い切りやる」人たちである。
ささやかな幸せを手堅く手に入れる堅実性と一獲千金を夢見て旅に出る豪快さの両方を併せ持つそうだ。
そんな彼らと付き合えばあなたもきっとどこにいても物怖じしない処世術を身につくことができるだろう。
和歌山の県花:ウメ/県木:ウバメガシ/県鳥:メジロ/県魚:マグロ/県民歌:和歌山県民歌