アンフェア 第5話の感想

世の中にアンフェアなことなど何もない。
目には目を。復讐には復讐を
アンフェアには、アンフェアを

今日の声は木村多江さんであった。
その木村さん(家政婦の牧村)が殺されかけるわ、パスワードはわからない。テレビ局に犯人から電話はかかってくるわ、美央ちゃんは涙する。
ドラマを見てない方は何を書いてあるかわからないだろうが、それほどこの番組は意表をついていて、いくつもの展開が絡み合い、いつもハラハラドキドキさせられる。
前代未聞の国民募金型誘拐事件。犯人の要求額は国民一人当り10円の総額12億円。
アンフェアなのは誰なのか。
木村多江さんが
演じている私たちが、「誰が犯人なの?」と思いながらやっています。
と言う通り、秦建日子さんの脚本は誰が犯人だかわからない。
犯人は警察内部か出版社にいる。
そう考えると安藤刑事(瑛太)も小久保係長(阿部サダヲ)も三上検視官(加藤雅也)も山路管理官(寺島進)もみんな怪しくなってくる。
私が犯人でないと思っているのは雪平(篠原涼子)本人と捜査1課の安本さん(志賀廣太郎)ぐらいなものだ。
美央ちゃんが縛られていないことを考えると元夫の佐藤デスク(香川照之)だって犯人でないといいきれない。家政婦の牧村(木村多江)もしかりである。
この木村多江さん、踊るさんま御殿で初めて知ったのだが新婚さんだそうだ。
なのになぜ、彼女は心に陰のある暗い演技がうまいのだろう。
彼女が一生懸命バラエティに出ている姿はなぜか痛々しかった。無理して笑いを取る番組に出なくともいいのにと声をかけたくなる。
それにしても志賀廣太郎さんはいい味を出している。
「私からもお願いしますよ」
朴訥とした口調のこの言葉を聞いただけで、愛すべきおじさんを感じる。
彼は松嶋菜々子さんと福山雅治さんのドラマ「美女と野獣」の鶴さん以降、私の中に鮮烈な印象が残っている。
話は戻るが、私は今回この番組の中で2つの嫌悪感を感じた。
新聞社と警察、言い換えれば報道と国家権力にである。
「うちだけのスクープだぞ」
「子供はどうなってもいいというのですか」
「国民にはなあ、知る権利があるんだよ」

編集長(大河内浩)と佐藤デスク(香川照之)がやりあうシーン。
フィクションなのにブラウン管に向って「そんな権利どこにあるんやねん(なぜか関西弁)、報道より人命の方が大事だろうか」と突っ込んでしまった(^_^メ)
実際に報道の現場ではこんなことがあるのだろうか。
倫理や道徳観がない報道は暴力である。
ある意味、報道期間は書くことによって力を持っているだけに怖い。
コンプライアンス法令遵守)という言葉があるのだから、モラリアンス(私が勝手に作った道徳遵守を意味する造語)も大事だ。
もうひとつ警察内部の陰湿な体質。
「雪平は検挙率№1だからな、あいつを恨んでいるやつもたくさんいるだろ」
どこの社会でも出る杭は打たれるというが、こうした小さな嫉妬が、おとり捜査を失敗した責任をとらされたりする国家権力の構造に怖さを感じた。
「まだ終わってなかったのか」
小久保係長(阿部サダヲ)が最後に言ったようにこの事件は瀬崎(西島秀俊)が犯人で終わっていない。
すべての糸が絡み合いながらも、最後は1本の糸にほぐれていく。
展開が読めないものほど面白い。最後に玉手箱から何が飛び出すか、楽しみである。