ライブドアの証券取引法違反事件からホリえもんを考える

プロ野球球団の買収から日本テレビ株の大量取得、衆議院選挙立候補と、昨年とかく話題になったIT業界の寵児ホリエモンが危機に面している。
高い知名度と積極的なM&Aで、10年間で784億円の売上に成長したIT系企業の代表格ライブドア東京地検特捜部の捜査を受けた。
容疑は証券取引法違反(偽計取引と風説の流布)である。
株式市場で巧みな錬金術を使い、急成長を遂げたライブドア堀江貴文社長。
窮地に立たされた彼の今を考えてみた。
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まずメディアで取り沙汰されている偽計取引と風説の流布とは何か。
偽計取引とは偽りの発表に基づく取引をいい、風説の流布とは株価の動きを操作する目的でデタラメな情報を流すことをいう。
ライブドアの容疑をもう少し具体的に述べると、
ライブドアが約75%の株を持つ子会社「ライブドアマーケティング(旧バリュークリックジャパン)」が2004年10月に、出版社「マネーライフ」の完全子会社化を発表し、05年1月に買収した。しかし、このマネーライフは発表前に既にライブドア傘下の投資事業組合に100%株式を抑えられてい
つまり、ライブドアマネーライフ社の株を既に持っていたにもかかわらず、新たに他から買収したように見せかけたというのだ(偽計取引)。
また、04年11月に発表したマネーライフの決算短信で、売上高や経常利益を水増し、実際の経営状態より良く見せ、株価を上げようとした(風説の流布
というものである。
まあ端的にいうと嘘の情報で株価をつりあげたというわけだ。
現にバリュー社はその2ヶ月で株価は8万500円と実に45倍も上がっている。
堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方堀江貴文のカンタン!儲かる会社の作り方を読む限り、堀江社長は株式市場における危うい錬金術によって会社を急成長させてきた。
そしてこれを支えてきたしくみが株式分割と交換である。
株式分割とは発行済み株式を分割し、1株当たりの価格を下げることをいう。
端的に言えば株の両替である。
本来は株主が株を買いやすくするために行うもので、当然、企業価値が変わる訳でなく、理論上は分割された分だけ株価は下がる。
ところが、実際には分割直後に株価が急騰するケースが多い。
これは分割による新株の発行には手続き上、約2か月を要する。この間、株主は新株を売ることもできず、逆に買いやすくなった株に買い手は殺到する。
そのため、「結果的に株価は上昇する」という仕組みである。(現在は証券取引法が改正され株式分割は5分割まで、株は翌日発行されるしくみとなっている)
こうしてホリエモン企業価格(時価総額)を高めていったのである。
しかし、やはりマネーゲームは長く続かない。
企業価値に見合わない企業価格はいずれ崩壊する。
ホリエモン逮捕という報道が近い将来聞かれるだろう。
しかし、なぜヒューザーの小島社長の証人喚問の前日に報道されたのか。
阪神大震災から11年の今日、耐震強度偽装事件の扱いが小さくなっている。
何か政治的意図が感じる人も多いはずである。
いずれにしても窮地に立たされた堀江貴文社長。
お金で人は支配できるといって、株で成長してきた社長が株の問題で失脚する。まるでフジのドラマ「恋に落ちたら」をみているようだ。
チチエモンはどういっているか知らないが、相田みつをさんは本当ににっちもさっちもいかなくなり途方に暮れたとき、人間のいのちの根は深くなるといっている。
彼はこの事件を契機にもう一度立ち直ることができるのだろうか。
それとも彼にとって地検の捜査は「想定内」なのだろうか。
彼の今後の動向を見守りたい。