冬のホタル

昨夜、蛍を見た。
夕暮れの薄明かりの中、電灯に照らされ舞う雪が冬の蛍のように見えた。
昨日は不思議な天気だった。
雪が舞っているのに、上空は薄明るく、夕日にあぶられ、雲が薄赤く夜空に広がっていた。
そんな中、雪をのせた住宅街を見ていると、近所なのに全く違う町に来たようだ。
私のアパートは国道沿いの商店街とは目と鼻の先にあるのだが、近くには灯りが少なく、ただ畑が広がる静かな住宅街だ。
赤や緑、青に彩られた商店街の灯りがすぐそこに見える。
けれども、目を前に戻すとあたりは暗闇。薄赤い夜空だけが広がっている。
なんとも不思議な感覚に襲われる。
目を閉じるとノルウェーの片田舎の街並みが浮かび、緑色のオーロラがカーテンのように広がってくる。
目を開けると雪が冬の蛍のようにあたりに一筋の光を与え、
そして闇に消えていく。
今年は雪がどれだけ降るのだろう。あと数日で今年も終わりだ。