秋元康さんの象の背中

病院にいってきた。妙に白々しいあの白い建物を僕はどうも好きになれない。
本を読んだ。
僕がこの作品を読むきっかけは、ジュレップス「旅たつ日」という曲を聴いたから。
理由(わけ)もなく涙がでた。

旅立つ日 完全版~象の背中(初回盤)(DVD付)

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この物語は実は「死」をテーマにした作品。この重たいテーマを秋元康さんらしい軽快なタッチで、ジョークを交えながらさらりと書いている。


主人公は肺がんで余命半年と宣告を受けた中堅不動産に勤める平凡な?サラリーマン
妻、息子、愛人、同僚、幼馴染、親友・・・死を突き付けられた主人公と、彼を取り巻く人間関係を絶妙なタッチで描いている。
著者の理想の最期というが、人間は何が怖いのか。忘れられることが一番怖いということをよく描いている。


はは、僕的には共感できない部分もあったが(^_^.)心に留まったコトバを紹介したい。

今更はあきらめるための自分の言い訳に過ぎない。だとしたら、やらないよりやった方がいい。そう、諦めているのは自分自身。やらないよりはやった方がいいと思いつつ、僕は現状に甘んじている。

(妻の手をみて)老けたなと思った。
女は手からふけていくときいたことがある。知らない間に張りがなくなり皺が増えた。
しかし、俺はそれが愛おしかった。左手の薬指に指輪をはめてあげたときよりずっと、ずっと、ずっと愛おしく思えた。

旧友のこの言葉にも・・

「おまえがどこにいようと、俺は、必ず駆けつけて看取ってやるよ。」
「それだったら怖くないだろう?おまえが先に逝くだけだから」p272引用


著者自身、後輩の放送作家や父の死を通じて感じたことを書いたそうで、「死」をみつめることは真剣に「生」をみつめること。こんなメッセージが伝わってくる。


象は死期を察知した時、群れから離れ、どこか知らない場所へ向かうという。(中略)俺は、今、この世に背中を向け歩き始めた

象の背中

象の背中

あなたはその背中に何を感じるだろう?
今日はばあちゃんの命日。ありがとう。いろんなことを気づかせてくれて・・